「ECサイトの構築って費用はどれくらいかかるの?」
「ECサイト構築の依頼先はどうやって選べばいいだろう?」
ECサイトを作ろうと考え始めたばかりの方は、様々な疑問が浮かんでいるのではないでしょうか。
いきなり制作会社を探すのではなく、まずはECサイトの運営目的に合わせて構築方法を決めることから始めましょう。
本記事では、
- ECサイトの5つの構築方法
- ECサイト構築に必要な費用の相場
- ECサイト制作会社を選ぶポイント
を解説していきます。ぜひ最後まで読んで、納得のいく依頼先を見つけてください。
目次
ECサイト構築を依頼する前に押さえておくべきポイント
ECサイトには様々な構築方法があるのをご存じですか?ECサイト構築を依頼する前に、それぞれの構築方法を理解しておくとスムーズに依頼ができますよ。
ECサイトの構築方法
下表は、5つの構築方法の特徴を簡単にまとめたものです。
構築方法 | 構築費用 | 維持費用 | 制作期間 | カスタマイズ性 | サーバー |
ECモール | 安い | 安い※1 | 短い | × | 不要 |
ASP | 安い | 月額費用が必要 | 短い | △ | 不要 |
オープンソース | 安い※2 | 安い※2 | 短い~長い | 〇 | 必要 |
パッケージ | 高い | 高い | 長い | 〇 | 必要 |
フルスクラッチ | 非常に高い | 非常に高い | 非常に高い | ◎ | 必要 |
注意点
【※1】ECモールは、維持コストは安くなるものの、売れた商品に対して一定の金額(手数料)をモール側に払う必要があります。
【※2】オープンソースは、自社で構築・運用を行うのであればコストを抑えることができますが、制作会社に依頼する場合は『ECサイトの製作費』が発生するため、注意が必要です。
各構築方法の特徴について、これから詳しく解説していきます。
ECモール
ECモールとは、その名の通りインターネット上のショッピングモールのことです。プラットフォームに複数の企業やショップが出店・出品することで成り立っています。代表的なECモール
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング
メリット
・集客力があり、知名度があるため信頼されやすい
利用者が多いプラットフォームに出店するため、自社で一から集客しなくても流入が見込めます。また、ECモールが持つ「ブランド力」によって、無名のショップでもユーザーからの信頼を得やすくなるので、購入のハードルを下げることができます。
・初期費用を抑えてECサイトを開設できる
既存のプラットフォームを活用するため、登録すればすぐに商品の販売を開始できます。
デメリット
・規約があるため、自由な運営ができない
さまざまな規約が存在するため、自由な運営はできません。ECモールが提供する機能を使って運営していくことになるので、自由度の高いページの作成や、デザインなどのカスタマイズは不可能です。
こんな人におすすめ
ECの運営が初心者の人、EC運営のノウハウを学びたい人
ECモールと広告について
昨今、ECモールに出店する事業者は非常に増加しているため、モール内での競争が激化している傾向にあります。そのため、「ECモールに出店すればそれだけで集客ができる」と考えるのは非現実的です。
運用にかかる費用や売上に応じた手数料の他に、集客のための広告予算が必要になることも考慮して構築方法を選びましょう。
ASP
ASPとは、Application Service Providerの略で、インターネット上でECプラットフォームをレンタルして利用できるカートシステムのことです。サーバーを用意したり、ソフトをインストールしたりする必要がないため、簡単にECサイトの構築ができます。
代表的なASP
BASE、SOTRES、Shopify、MakeShop、カラーミーショップ
メリット
・導入が簡単
開発する手間がかからず、サーバーを用意する必要もないため、サービスを利用すればすぐにECを開始できます。
・システムの運営にかかわる工数の削減ができる
システムのアップデートや機能の追加はASPサービスを提供する会社が行うため、常に最新の状態で利用でき、システムの運営に関する手間も省くことができます。
デメリット
・カスタマイズできる幅が狭い
ASPのデザインや機能はサービスに依存するため、個別のカスタマイズは不可能となっています。テンプレートが用意されていたり、カスタマイズができたりするサービスも存在しますが、基本的には一定のデザインから選ぶ形となります。
こんな人におすすめ
リスクを少なくECを運営したい人、初期費用を安く抑えてECサイトを開設したい人
オープンソース
オープンソースとは、外部に公開されているソースコードを自社サーバーにインストールしてECサイトを構築する方法のことです。ECサイトの内部構造(ソースコード)が公開されているため、機能の追加や改善を行うことができます。
代表的なオープンソース
WordPress、EC-CUBE
メリット
・カスタマイズ性が高い
オープンソースにはプラグインが豊富にそろっているため、ある程度カスタマイズしたECサイトを作ることができます。
・コストを抑えてECサイトの構築ができる
一から開発するよりも費用をかけずにECサイトの構築が可能で、あらかじめ機能が実装されているため開発工数の削減ができます。
デメリット
・保守・運用を自社で行う必要がある
オープンソースは自社で構築する方法のため、当然のことながら保守・運用なども自社で行うことになります。社内に技術者がいない場合、別途費用が必要になってきます。
こんな人におすすめ
自由度の高い運営がしたい人、自社のコンセプトに合ったECサイトを作りたい人
パッケージ
パッケージとは、ECサイトの運営に必要な機能がパッケージ化されているシステムのことを指します。
パッケージは、自社の基幹システムや在庫管理・物流システムとの連携を前提としているシステムです。中・大規模の企業がECサイトを構築するときに用いられる構築方法であるため、個人事業者や小規模ビジネスの場合は向かないでしょう。
メリット
・デザイン、機能面において柔軟なカスタマイズが可能
デザインや機能などの自由度が高く、自社システム・その他管理システムとの連携も可能となっています。
・専門的な知識や技術力がなくてもECの運営ができる
ベンダーからのサポートが受けられるため、技術力がなくても自社向けのECサイトにカスタマイズできます。また、運営管理やセキュリティ対策などの業務をベンダーに委託することも可能です。
デメリット
・コストが高い
ECパッケージの導入には、最低でも数百万円の初期費用がかかります。さらにシステムが陳腐化しやすいということもあり、定期的なリニューアルが必要になります。
リニューアルを避けて使い続けた場合、セキュリティの面で脆弱性が出てきたり、ユーザー環境の変化にECサイトが対応できなくなることが原因で売上に影響がでてきたりする可能性も。リスク回避のためにも、リニューアルは必ず行いましょう。
こんなときにおすすめ
中・大規模の企業がECを構築するとき
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、ECサイトをゼロの状態から構築する方法を指します。既存のシステムやソフトウェアを利用しないため、制約を気にすることなく自由にシステムを構築できます。
膨大な費用と多くの時間を要するので、大規模なECサイトを構築する際に用いられる構築方法です。
フルスクラッチで構築されたECサイトの例
ZOZOTOWN、ユニクロオンラインストア
メリット
・自由にECサイトを構築できる
既存の仕組みやソフトウェアを使わないため、完全オリジナルのECサイトを作ることができます。
デメリット
・膨大な時間と費用がかかる
フルスクラッチは、最大限希望の要件を満たしたECサイトを作ることができる反面、多くの時間と費用が必要になります。初期費用を回収できない場合もあるので、小規模ECサイトを構築する場合には向かないでしょう。
こんなときにおすすめ
大規模ECサイトを構築したいとき
ECサイト構築に必要な費用の相場
相場 | 構築方法 | 発注先 | 制作期間 |
無料〜10万円 | ・ECモール ・ASP |
EC構築サービスを利用 (自分で制作) |
1週間〜1カ月 |
10万円~100万円 | ・ASP ・オープンソース |
中小規模の制作会社 | 1カ月~2カ月 |
100万円〜500万円 | ・オープンソース ・パッケージ |
中小規模の制作会社 | 2カ月~5カ月 |
500万円以上 | ・オープンソース ・パッケージ ・フルスクラッチ |
・中小規模の制作会社 ・大手制作会社 |
4カ月~8カ月 |
ここからは、各相場の特徴について解説していきます。
無料~10万円
楽天市場やYahoo!ショッピングなどのECモールへの出品や、BASEやSTORESなどの無料ASPを活用して構築する場合、この価格帯となります。
無料~10万円の相場では、サービスの提供元が用意したテンプレートのデザインに、画像やテキストを流しこんでECサイトを制作するのが一般的です。
商品写真や商品の原稿が用意できていれば、1日~3日で作成できます。素材づくりの時間も考慮すると、1カ月もあれば十分なサイトが作れるでしょう。
10万円以下 相場の特徴
・商品写真や原稿は依頼側が用意
・テンプレートのデザインを活用
・ECモールやASPのECサイト構築ツールを利用した制作
10万円~100万円
この価格帯は、ASPやオープンソースを活用し、制作会社に開発してもらうケースになります。「プロに依頼するのだから、思い通りのECサイトができるはず」と考えるのは危険です。この相場でできることは、多少のデザインカスタマイズと考えるのが妥当でしょう。
10万円~100万円 相場の特徴
・商品写真や原稿などは依頼側が用意
・各ASPのテンプレートデザインを活用
・高度なカスタマイズは望めない
100万円~500万円
この価格帯では、オリジナルデザインにカスタマイズできたり、自社独自の機能を追加したりすることが可能になります。構築方法は、オープンソースもしくはパッケージです。
予算にもよりますが、この相場から商品撮影や原稿などのコンテンツも制作会社が担当してくれるケースが多くなります。
100万円~500万円 相場の特徴
・ECサイトに必要な商品写真、原稿などは制作側が用意(金額による)
・カスタマイズ性が高く、デザインの自由度も高い
・自社の業務内容に合わせたECサイトの構築が可能
500万円以上
事業に合わせた独自機能を追加したり、自社で利用しているシステムとの連携ができたりと、高度なカスタマイズが可能となる価格帯です。構築方法は、オープンソース・パッケージ・フルスクラッチとなります。
構築費用を500万円以上使える場合、100万~500万円の相場に比べてカスタマイズ性はより高くなります。また、公開後の運営サポートが充実している制作会社が多い傾向にあります。
「自社システムと連携したい」「業務効率化を目的とした機能を追加したい」など、ECを本格的に運営していこうと考えている方は、この相場での依頼も検討してみましょう。
500万円以上
・ECサイトに必要な商品写真、原稿などは制作側が用意(金額による)
・自社システムとの連携も自由自在、機能の追加に制限がない
・公開後の運営サポートが手厚い
ECサイト制作会社を選ぶ際に確認すべきこと
①得意分野
多くのECサイト制作会社は、それぞれ得意分野を持っています。依頼側の求める内容とECサイト制作会社の得意分野が合致しない場合、望み通りのECサイトにすることは難しいでしょう。
集客やマーケティング、コンサルなど、得意とする分野はさまざまなので、自社が作りたいECサイトのイメージとマッチする制作会社を選ぶことをおすすめします。
②対応範囲・支援内容
「ECサイト制作会社」といっても、対応している作業の範囲は会社によって違います。事前にその会社がどこまで対応しているのかを確認し、頼みたい作業範囲を明確にしたうえで依頼するようにしましょう。
ECサイト制作は3段階で成り立っている
ECサイト制作には、下記に示した「構築・設定・運用」の3段階で成り立っています。
構築:ECサイトのフロント(ユーザーの目に触れる部分)を構築。
一般的なWebサイト構築の範囲
設定:EC運営業務を理解したうえで、決済や物流などのバックエンドの設計まで可能
運用:ECサイトリリース後の集客支援なども可能
ECサイト制作会社に依頼する場合、なるべく構築だけでなく、設定まで対応している会社を選ぶことをおすすめします。
なぜなら、依頼主が使いたい決済機能・物流と、提供されたECサイトで使えるものが異なるケースも想定できるからです。設定まで依頼することによって、システム上のトラブルを回避できるだけでなく、自分で設定する手間も省けます。
事前に設定まで対応しているかどうかを確認するようにしましょう。ちなみに、運用まで行っているECサイト制作会社はそこまで多くありません。
③開発実績・経験
ECサイト制作会社の開発実績・経験は、会社のコーポレートサイトやサービスサイトで確認することができます。
詳細を公開していない場合でも、資料請求や見積もりを依頼した際にもらえることがほとんどです。開発実績・経験については、以下の2点を確認するようにしましょう。
ECサイトのデザイン
ECサイト制作会社が得意とするデザインは、開発実績・経験を見ればおおよそ掴むことができます。自社のイメージに近いデザインや、こんなデザインにしたい!と思うようなECサイトの開発実績・経験が豊富な会社だと、依頼する際もデザイン、イメージのすり合わせもしやすくなるでしょう。
中小規模の会社でも複数名のデザイナーが加わることで、デザインの幅は広げられます。そのため、そこまで企業にこだわる必要はないでしょう。企業規模関係なく、フラットな視点で制作会社を比較・検討してください。
ECコマースの運営経験
ECの運営経験がある制作会社は、構築だけにとどまらず、設定や運用のノウハウも持っているため安心して依頼できます。実績・経験として紹介されている事例の中で、構築のみの担当なのか、それとも設定や運用まで担当したのかをチェックしてみましょう。
こんなECサイト制作会社には注意!
ECサイト制作会社を見極めるポイントは以下の3つです。
①開発費が安すぎる
②項目が曖昧な見積書を発行する
③売上が「すぐに上がる・必ずあがる」と言ってくる
開発費が安すぎる
開発の内容によって費用は変動しますが、他の会社と比較した際に、あまりにも安すぎる場合は注意が必要です。ECサイトのクオリティが低くなったり、問題が起きたときにフォローしてもらえなかったりする可能性があります。
特に、10万~20万円程度で制作できるという場合は注意が必要です。ECサイト制作にかけられる予算が少なく、コストを抑えてECサイトを構築したい場合は、BASEやSTORESを使って自社でECサイトを制作することも視野に入れて検討してみてください。
項目が曖昧な見積書を発行する
例えば、「ECサイト開発一式〇〇円」というように、見積書の項目がアバウトな場合、要望にどこまで対応してもらえるのかがわからず、不安が残ります。さらに、細かく料金が明示されていない場合、追加料金が発生する可能性も。
見積書の項目はECサイト制作会社によっても変わってきますが、構築ならデザイン・コーディング、設定であれば何の設定なのかというように、作業項目が詳細に書かれている会社を選んだ方が安心できます。
売上が「すぐに上がる・必ず上がる」と言ってくる
ECサイトを制作すれば、売上が「すぐに上がる・必ず上がる」と言ってくる会社はあまり信用しない方が良いでしょう。なぜなら、ECサイトを構築してから手ごたえを感じられるまでに、少なくとも数カ月はかかるからです。
できたばかりのECサイトに対して、自然と人が集まるわけではありません。ECサイトを立ち上げるタイミングと同時に、SEO対策や集客施策を実施して、より多くのユーザーにECサイトを知ってもらう必要があります。
効果的な施策を安定して行うためには、データの収集とそれに基づく施策の効果検証、改善というPDCAを回すことが重要です。
このようなことを踏まえて提案してくれるECサイト制作会社は信頼できますが、制作会社にとっての利益のために「すぐに上がる・必ず上がる」と言ってくる制作会社には注意すべきです。
おすすめのECサイト制作会社3選
ecbeing
出典:ecbeing
ecbeingは、東京都渋谷区にあるECサイト制作会社です。さまざまな業種・形態に対応したECサイト構築パッケージ・サービスを提供しています。「BtoB」「BtoC」「クラウドEC」「モール」と、手掛けているECサイトの領域が広いため、各ビジネスに沿ったECサイトの提案が実現できています。
また、ecbeingの標準機能には「売上を上げるためのマーケティング機能」が最初から充実しているので、外部ツールを使わなくても管理画面でPDCAを回すことが可能です。
おすすめポイント
・中堅、大手の導入実績が豊富
・バックオフィス業務が充実
・国内通販サイト構築シェア49.6%
料金体系
都度問合せ
インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
インターネットビジネスフロンティア株式会社は、東京都渋谷区にあるECサイト制作会社です。EC事業・Webマーケティング支援をして17年の歴史を持ち、ECサイトの制作からコンサルティングまで幅広く対応しています。
こちらの制作会社では、集客に特化した自社サービスを提供しています。運用中の広告を第三者的に診断・アドバイスする「IBF 2ndオピニオン」を利用すると、診断後に17項目30ページ前後のレポートを受け取ることができ、客観的な視点から自社の課題を分析することができます。
料金体系
EC事業計画:150万円~
広告媒体費用:50万円/月
戦略的Webサイト設計・構築:200万円~
ECシステム開発:1,000万円~
各種Webシステム開発:300万円~
EC運営代行:50万円~
IBF 2ndオピニオン:20万円~
おすすめポイント
・ECサイトの制作からコンサル、Webマーケティングの支援まで対応
・集客に特化した自社サービスを提供
・EC、Webマーケティング支援の実績が豊富
株式会社SPC『ECサイト制作.com』

出典:ECサイト制作.com
ECサイト制作.comの運営を行う株式会社SPCは、東京都新宿区にあるECサイト制作会社です。EC制作.comではお客様に合わせたECサイトの提案を行っており、パッケージ・ショッピングカート(ASP)・モールへの出店など幅広く対応しています。
商品撮影やセールスライティングを行っていたり、さまざまな集客方法を行っていたりと、コンバージョン率・集客力アップのためのサポート体制が整っています。
おすすめポイント
・多くのショッピングカートシステムに対応
・商品撮影、セールスライティングの代行も行っている
・さまざまな方法(メディアEC、SNS、広告)での集客が可能
料金体系
都度問い合わせ
目的と重視したい点を明確にしたうえで、ECサイト制作会社を選びましょう
本記事でECサイト制作会社を選ぶポイントについてご説明しましたが、選定の際に一番大切なのは目的と重視したい点を明確にすることです。そうすることで、複数の制作会社に見積もりを依頼する場合も比較しやすくなります。
また、多くのECサイト制作会社は得意分野を持っています。その制作会社で自社が作りたいECサイトは構築可能なのかどうかを見極め、ECサイト構築を依頼する会社を選びましょう。