
「オフショア開発って何?」
「オフショア開発で人気な国はどこ?」
システム開発の外注先を探している方は、悩まれているのではないでしょうか。
オフショア開発とは、システム開発などの一部を、賃金が安い海外の事業者や子会社に委託する開発手法のことです。以前は中国やインドが主な委託先として選ばれていましたが、近年ベトナムが人気を集めています。
本記事では、
- オフショア開発の概要
- オフショア開発で人気の国
- オフショア開発を成功させるためのポイント
について解説していきます。外注先選定の判断材料の1つとして参考にしてみてください。
目次
オフショア開発とは
オフショア開発とは、情報技術(IT)開発などの一部を、賃金が安い海外の事業者や子会社に委託することでコストを削減できる開発手法のことです。
元々は英米からインドへの委託から始まり、英語圏で盛んに行われていましたが、その後日本を含めた様々な国に広まりました。
オフショア開発が注目される理由
オフショア開発が注目されるようになった理由として「日本国内のIT人材不足」と「グローバル化」が挙げられます。
日本国内のIT人材不足
インターネットの普及が進み、IT人材の需要が高まっている現代。しかし、少子高齢化による労働人口の減少などの原因で、日本国内だけでは補えない状況となっています。
出典:IT人材需給に関する調査
上図は「IT人材の需要と供給の推移予測」として、みずほ情報総研株式会社が発表したものです。需要は年々拡大していく一方、供給人材数は伸び悩み、2030年にはおよそ45万人のIT人材が不足すると予想されています。
このことから、人材確保に必要なコストは上がり、国内だけで高品質且つ安価なソフトウェアを開発することが難しい状況になりつつあるのです。
グローバル化
インターネットが現在のように普及する以前は、海外進出をしようと思うと大規模な投資が必要だったため、大企業でなければ難しいとされていました。しかし、インターネットの普及とともにそのハードルは下がり、今では中小企業が海外進出するケースは珍しくありません。
さらに、ダイバーシティの考え方が広まってきたこともあり、オフショア開発が注目されるようになりました。
オフショア開発で委託する主な業務
オフショア開発で委託できる業務には、以下のようなものがあります。
- ソフトウェア開発
- Webシステム開発
- スマホアプリ開発
- Facebookアプリ開発
- ソーシャルゲーム開発
- システム運用保守管理
近年では上記のような開発に関わる業務だけでなく「オフショアリング」といって、データ入力、コールセンター業務など、様々なオフショアの形が存在しています。
オフショア開発で人気な国
オフショア開発の委託先として人気な国は以下の6ヵ国が挙げられます。
- ベトナム
- インド
- 中国
- インドネシア
- フィリピン
- ミャンマー
オフショア開発が日本で取り入れられるようになった当初は、中国に委託することが主流でした。次にIT大国として高い技術を持つ人が多いインドの需要が伸びましたが、どちらも人件費が高騰し、撤退する企業が増えています。
そういった背景があり、近年最も人気を集めているのがベトナムです。
インドや中国に比べて人件費が安く、親日で真面目な国民性が日本人とマッチし、仕事がしやすいと言われています。国策としてIT人材の輩出に力を入れていることから、豊富なスキルを持つ人材が集まりやすいのも魅力ですね。
ベトナムは経済成長中で最低賃金は毎年上がっており、今後も人件費の高騰は考えられますが、現時点で日本の2分の1程度なのでしばらくは人気が続くでしょう。
その他に人気が上昇している国として、インドネシア、フィリピン、ミャンマーが挙げられます。ただし、ミャンマーなど一部の国では社会情勢不安があることから、オフショア開発の拠点として選ぶには慎重になる向きもあるようです。
オフショア開発のメリット
コスト削減
人件費が安い国の人に業務委託することで、コストが削減できます。
システム開発にかかる費用の多くが人件費です。オフショア開発を導入することで、人材が多く必要な”大規模な案件”ほど大幅にコストカットできます。
優柔な人材の確保
東南アジアでは、政府がICT教育を推進している国が多く、若くて優秀なIT人材が多く存在します。
物価の違いにより日本の感覚では安価でも現地の給与水準で見れば高給ということが多く、優秀な人材が集まりやすいのもポイントです。
オフショア開発のデメリット
言葉の壁
言語の違いから、細かい部分のニュアンスが伝わりづらいことがあります。翻訳機能を使うにしても手間や時間が必要です。
オフショア開発では、基本的に英語でコミュニケーションを取りますが、中には日本語を話せる人もいます。
しかしそのような人材を雇うには、通常よりも人件費がかかるため、結果的にコスト削減にならない可能性も。何に重点を置くかを考えよく比較検討しましょう。
文化の相違
仕事に対する考え方や納期の捉え方の違いなどによりトラブルが発生したり、成果物が求めるクオリティより劣ったりということが起こり得ます。
日本での常識と思われている考え方は通用しない、ということを念頭において接することが大切です。
オフショア開発を導入する際、日本と委託先の国に関する理解が深く、実績を持つ人を双方のブリッジ人材に選ぶことでトラブルを回避できるので慎重に選定しましょう。
物理的な距離・時差
トラブルが起きたときに直接確認したくても、時差・距離があることによってそれが叶わないということがあります。時間を決めて定期的にテレビ電話で状況を確認するなど、こうした問題を前提とした仕組みを整えることが重要です。
オフショア開発3つの方法
オフショア開発を導入するための方法は以下の3種類があります。
①オフショア開発企業を利用する
②現地に支社・現地法人を作る
③クラウドソーシング
ここからは、それぞれの方法を詳しく解説していきます。
①オフショア開発企業を利用する
この方法は、業務の管理を自社で行わず、専門の企業に任せられます。人材を新たに確保したり設備を用意する必要がないため、初期投資のコストを抑えることが可能に。
日本語と現地の言葉の両方を話せるスタッフが仲介役となってくれるため、海外との取引でハードルとなる言語の問題も任せられます。
②現地に支社・現地法人を作る
この方法は、場所や人材、運営体制などの全てを自社で行うことになるため多額の資金が必要です。
しかし、開発や人材の管理体制をコントロールすることが可能になります。
③クラウドソーシングを利用する
①と②の方法は資金も多く必要ですが、クラウドソーシングを利用することで予算を抑え、ピンポイントで欲しい人材を得ることができます。
自社で足りていない部分を補いたい場合などに適した方法です。
クラウドソーシングの利用はある程度のリスクを覚悟
前述の通り、オフショア開発には言葉の壁や、文化の違いによるハードルがあります。オフショア開発企業の利用・現地法人の開設の場合は、現地スタッフとの間に管理職を置くことでマネジメントが成立しますが、クラウドソーシングの場合は全てが自己責任です。
「納期などの約束が全く守られない…」「前払いで発注したら逃げられた…」そんなトラブルもある程度覚悟し、信頼できるスタッフを探さなければなりません。
オフショア開発成功のためのポイント
オフショア開発は、起こり得る問題点を理解し、適切な対策を講じることが大切です。
発注前の準備
オフショア開発を導入する前に、リスク管理を徹底しておきましょう。
委託先の人材の国民性を知っておくことで起こり得るトラブルを想定し、有事の際の対処法を用意しておくことが大切です。
積極的なコミュニケーション
積極的にコミュニケーションを取ることで、大抵のトラブルを回避することができます。
国内では「わざわざ言わなくてもわかるだろう」と曖昧にしがちな部分も、委託先に対しては明確に高い頻度で確認を行ったり指示を出すことで、双方の食い違いを事前に防げます。
開発進捗の管理
納期を守ってくれないといった問題は、細かく開発進捗を報告し合うことで解決できます。
始業時、終業時に必ず報告するといった仕組みを作ったり、英語でのコミュニケーションに不安があれば図や表を用いるなど、見える化する工夫が有効です。
【2022年】オフショア開発の現状と動向
深刻なIT人材不足と需要の拡大から、今後もオフショア開発を導入する企業は増えていくと予想されます。
もともと、コスト削減を目的として活用されていましたが「リソースの確保」「質の高い開発」を目的とした活用をされるなど、ニーズに変化がみられます。委託先に関しても、現在人気な国はベトナムですが、先述の通り導入された当初は中国がメインでした。中国の経済成長および賃金上昇により、委託先を変えてコストのバランスをとっています。
今後も委託先の国の経済面の変化や技術の向上などにより、変化があるでしょう。導入を考える際は、委託先の国の経済や政治などの観点から、先を見据えた検討をされることをおすすめします。
まとめ
オフショア開発は日本のIT企業が抱える様々な問題を解決に導いてくれる画期的な開発手法です。
グローバル化がさらに進み、取り入れる企業は増え続けることでしょう。
しかし、導入したいと思っても考慮すべきことが多くハードルが高いと感じてしまうかもしれません。その場合、すでにオフショア開発を取り入れ、フローを確立している制作会社に開発業務を委託するという方法がおすすめです。
この方法では、自社で新たにチームを作ったりコミュニケーションなどの課題感じることなく、オフショア開発のメリットを享受することができます。
本記事を参考にオフショア開発への理解を深め、それぞれの目的に合うオフショア開発の取り入れ方は何かを検討してみてください。