
「コンテンツマーケティングで動画を活用するとどんな効果があるの?」
マーケティング担当者であれば、疑問に感じることがあるのではないでしょうか。
動画を活用すれば、文章で表現する場合に比べて短時間で多くの情報を伝えることができたり、視覚と聴覚の両方に訴えかけられることから、ユーザーの理解度を高められたりといった効果が期待できます。今後、「高速・大容量」が特徴の5Gがより普及すれば、さらに動画を視聴するユーザーは増え、ニーズも高まっていくでしょう。
本記事では、
- 動画を用いたコンテンツマーケティングが注目されている理由
- 動画を用いたコンテンツマーケティングの成功事例
- 動画制作のポイント
について解説します。ぜひ最後まで読んで、コンテンツマーケティングの参考にしてみてください。
目次
なぜ今コンテンツマーケティングで動画が注目されているのか
コンテンツマーケティングと一口に言っても様々な手法がありますが、近年「動画」を用いたマーケティングが注目されています。要因として考えられるのは、ここ数年で一気に進んだデバイスシフトです。
TVやPCが主流だった頃は、通信速度が遅くテレビ番組以外の動画コンテンツを楽しむ機会は多くありませんでした。しかし、小型で持ち運びが容易なスマートフォンが普及し始めてからは、高速通信回線が整備され、日常的に動画を視聴する人が増加。近年では小学生がなりたい職業ランキングの上位に「YouTuber」が挙がるなど、動画がもつ影響力の大きさを感じざるを得ません。
このように、スマートフォンの普及で人々の生活が変わったことにより、動画の影響力が高まったためコンテンツマーケティングで取り入れられることが増えたと考えられます。
コンテンツマーケティングで動画を活用するメリット
動画を用いたコンテンツマーケティングは、今流行っているだけでなく様々なメリットがあります。
コンテンツマーケティングで動画を活用するメリットは以下の3点です。
- 短時間で大量の情報を伝えられる
- 視覚と聴覚に訴えかけることができ、記憶に残る
- 市場規模と需要はこれからも伸びる
短時間で大量の情報を伝えられる
静止画で多くの情報を伝えようとすると膨大な文章量になってしまいますが、動画の場合、文字だけでは伝えづらい情報を動きや音声を掛け合わせることで短時間で伝えられます。
アメリカの調査会社「ForresterResearch」のDr.James McQuivey氏によると、「1分間の動画には180万語相当の価値がある」(※1)とのこと。180万語の記事を書くのは骨の折れる作業です。それを動画だと1分で伝えられるというのは大きなメリットといえます。
また、ユーザーにとっても長すぎる文章を読むのはハードルが高く、最後まで読んだとしても理解できるとは限りません。それに対して1分の動画であれば気軽に視聴することができ、動きや音声からも情報を得て理解がしやすいというメリットがあります。
※1…18 Marketing Statistics And What It Means For Video Marketing
視覚と聴覚に訴えかけることができ、記憶に残る
動画は視覚と聴覚に訴えるかけることができるため、どちらか片方のみでアプローチするよりも記憶に残りやすいというメリットがあります。
例えば「ライザップ」というと、あのキャッチーなBGMや映像が頭に浮かぶという人は多いのではないでしょうか?インパクトのある動画というのは、人の記憶に焼き付きなかなか離れません。工夫次第でそうした効果を得ることができるのです。
市場価値と需要はこれからも伸びる
動画コンテンツ市場は近年急激に成長していますが、まだ発展途中です。今後さらに伸びていくでしょう。その要因としては「5G」の普及がこれから進むことが挙げられます。
「5G」が商用利用されるようになったのは2020年3月。利用できる地域が限られていることもあり、普及率はまだ低いのが現状です。しかし、国をあげて普及を進める動きがあるため、数年後には利用できる地域は拡大し、対応するスマートフォンの普及も進むことでしょう。
「4G」と比較して通信速度が20倍の「5G」が普及すればさらに動画市場は拡大するはずです。
コンテンツマーケティングに用いられる動画タイプ分類
コンテンツマーケティングに用いられる動画は大きくわけて以下の4つのタイプに分類することができます。
- ブランディング動画
- サービス紹介動画
- ハウツー動画
- インタビュー動画
ここからは、4つの動画タイプの特徴を解説します。
ブランディング動画
動画は多くの情報を盛り込むことができるため、会社やサービスを認知してもらうために活用できます。視聴者に強い印象を与えられるよう、インパクトのある音楽を入れて興味を引いたり、ストーリー性のある動画にして共感してもらったりと、アプローチ方法は様々です。
ただし、意図していない形で視聴者に捉えられてしまうことがあり、最悪の場合「炎上」する恐れがあります。「バズる」ことばかり意識するのではなく、事前にターゲットを定め、どういう目的でアプローチするのかを明確にしておくことが重要です。
サービス紹介動画
ユーザーからの「認知度」と「理解度」を高められるのがサービス紹介動画です。当たり前かもしれませんが、どんなサービスかわからなければ利用しようとは思いませんよね。
そこで、動画でサービスの概要を紹介することによって、自身がサービスを活用する疑似体験をしてもらうことができます。それによりサービスの導入を前向きに検討してもらうことができるのです。
ハウツー動画
主にサービスや商品の利用者のサポートを目的としてハウツー動画が活用されています。
購入を検討している人の中には「使い方の想像がつかないことから購入を諦めてしまう」人は少なくありません。ハウツー動画を用意しておくことで悩みを取り除き、購買を促すことができるのです。
購入後のユーザー、購入を検討しているユーザーの双方に向けてアプローチができる動画タイプといえます。
インタビュー動画
採用動画やサービスの導入事例といった場面で用いられるのがインタビュー動画です。
求職者向けに実際の社員のインタビューを行うことで、「どんな社員がいるんだろう」「どんな仕事内容なんだろう」といった不安を取り除くことができます。入社希望者数の増加や、自社の社風に合った人材が集まることが期待できるでしょう。
商品やサービスを導入した人へのインタビューを動画にした場合、閲覧者が「自分が利用したら、こういうかんじか」とイメージが沸き、購入の後押しになります。「サービス提供側が自分で言っているのではなく、第三者が言っている」というのも、説得力を感じてもらえるポイントです。
【タイプ別】コンテンツマーケティングの動画事例
ここからは、動画を取り入れたコンテンツマーケティングの事例を解説します。
ブランディング動画:Eight
Sansan株式会社が提供する名刺アプリ「Eight」のブランディング動画です。公開から2日で再生回数100万回を記録し、一気に知名度が上がりました。
「名刺交換」というビジネスマンにとっては日常的な光景を創造的な演出で表現したことで視聴者の感動を呼んでいます。
最後には自社のサービスにしっかり落としており、「Eightを使えば大人数でも名刺交換がスムーズに行える」ということが伝わってくる内容です。
ブランディング動画:プリントパック
株式会社プリントパックのブランディング動画です。「印刷の大切さ」や「印刷でみなさまのお役に立ちたい」という企業の思いをゆっくりと語る演出で、企業姿勢を伝えることに徹しています。
この事例でいう印刷業界のように競合がひしめく業界では、「差別化」がカギです。この動画からプリントパックは、「真摯に向き合う姿勢」や「丁寧さ」を強みとして掲げているのが伝わってきます。
サービス紹介動画:Payme
株式会社ペイミーが運営する給与即日払いサービス「Payme」のサービス紹介動画です。
動画の冒頭で紹介する「単身世帯2人に1人が貯蓄ゼロ」、「月に1度の給料日だと給料日を待ちきれずアルバイトの20%が1カ月以内に離職」といった数字を用いた魅せ方が視聴者の興味を引き、サービスの概要紹介への導線としても機能しています。
ポップな色使いのアニメーションとテンポの良さで最後まで飽きずに見ることができ、内容もまとまっていてわかりやすいです。
サービス紹介動画:タイムズカーシェア
タイムズモビリティ株式会社が運営するカーシェアリングサービス「タイムズカーシェア」のサービス紹介動画です。サービスの特徴や料金形態、予約~運転開始までの流れといった、サービスの利用に際してユーザーが気になるポイントがコンパクトにまとまっています。
直近に利用する予定のある人が流れを確認するために視聴してもらえば満足度の向上が期待でき、「サービスを利用してみたいけど利用方法がイマイチわからない」という人に知ってもらうことで新規顧客の獲得が期待できるという、幅広い層に有効な動画と言えるでしょう。
ハウツー動画:Dyson Airwrap
出典:ダイソン公式「Dyson Airwrap クイックスタートガイド」基本の使い方、スタイルを長持ちさせるコツ
ダイソン株式会社が販売するヘアケア商品「Dyson Airwrap」のハウツー動画です。商品を使ったヘアスタイリングの方法を見やすい角度から撮影し、ナレーションではなくテキストと図で解説しています。
商品を購入した人向けにアフターサービスとして機能するのはもちろん、購入を検討している人が見れば「この商品があればこんなヘアスタイルが作れるんだ」とイメージができ、購入意欲の向上が期待できます。
ハウツー動画:ソフトバンク
出典:スマホ初心者のための基本操作講座<iPhone入門編①>
スマートフォンや携帯電話を販売するソフトバンクのハウツー動画です。スマホ初心者向けにiPhoneの各ボタンとスイッチについて解説されています。
機器の操作に慣れていない人や、小さな子どもからお年寄りの方まで誰でもわかりやすいよう、ゆっくりとしたペースでテキスト、映像、ナレーションを用いて丁寧に説明されているのが特徴的です。
こうしたハウツー動画は、自力で商品を使えるようになってもらうことで、カスタマーサポートへの問い合わせを減らし、従業員への負担を軽減することが期待できます。
インタビュー動画:バンダイ
出典:バンダイ・BANDAI SPIRITS 新卒採用ムービー
おもちゃやキャラクターグッズなどの開発・販売をしている株式会社バンダイのインタビュー動画です。新卒採用が目的の動画で、様々な職種の社員のインタビューが盛り込まれています。
「大切にしていること」「やりがいを感じるポイント」など生の声を聞けるため、求職者は自分が働く姿を想像しやすくなり、応募のハードルが下がるのではないでしょうか。
インタビュー動画:SmartHR
出典:SmartHR CM|入社手続きをテレワークで篇 30秒
株式会社SmartHRが提供するクラウド人事労務ソフト「SmartHR」のインタビュー動画です。実際にソフトを活用して入社手続きを行った3人のインタビューが30秒にまとまっています。
短い動画にも関わらず、人事部・人材開発部・新入社員という異なる立場の3人のコメントが聞けて、導入を検討する人の後押しとなるでしょう。
新たな動画を使ったコンテンツマーケティング
ここからは、最近になって知名度を上げ始めた、新たな動画を使ったコンテンツマーケティングを紹介します。
ウェビナー
近年注目されるようになった動画を使ったコンテンツマーケティングの1つに、「ウェビナー」があります。ウェビナーとは、オンラインで行うセミナー、またはオンラインでセミナーを行うためのツールを指し、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を合わせてできた造語です。
会場を借り、主催者と参加者が一堂に会して行われる従来の講演会や会社説明会とは異なり、インターネット環境があればどこからでも参加することができるため、新型コロナウイルスの影響で大人数が集まることが難しい今、急激に需要が高まっています。
「リアルタイム配信」と「録画配信」の2つのタイプがあり、リアルタイム配信は主催者と参加者がコミュニケーションをとれることがメリットです。対して録画配信は、時間が定まっていないため参加者が好きなタイミングに視聴できることがメリットとして挙げられます。
インタラクティブ動画
最近注目され始めた動画コンテンツマーケティングに「インタラクティブ動画」があります。インタラクティブ動画とは、クリックやタップなど、視聴者が触れる仕掛けを組み込んだ動画のことです。
従来、動画コンテンツは発信者から視聴者に向けて一方的に情報を伝えるものでした。それに対してインタラクティブ動画は双方向にコミュニケーションが取れるため、ユーザーは能動的に動画コンテンツに参加し動画の視聴時間が長い傾向にあります。
その結果エンゲージメントが高まったり、コンバージョン獲得が期待できるといった様々なメリットがあることから取り入れる企業や団体が増えてきています。
コンテンツマーケティング動画制作のポイント
コンテンツマーケティングで活用する動画を制作する際のポイントは以下の3つです。
- ペルソナと目的を明確にする
- できるだけコンパクトにまとめる
- CVまでの動線を意識する
ペルソナと目的を明確にする
コンテンツマーケティングで動画を活用する際、まず「ペルソナ」と「目的」を明確にすることから始めましょう。必ず設定しておきたいペルソナの要素は以下の4つです。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 住んでいる地域
また、動画で訴えかけたい相手は「新規顧客」か「既存顧客」か、目指すのは「ファンの獲得」か「商品購入数増加」といったマーケティングの目的を明確にしておくことも重要です。
これらが定まっていないと誰にも響かない動画になってしまうため、必ずはじめに決めておきましょう。
できるだけコンパクトにまとめる
動画が長かったり情報が多くまとまりがなかったりすると、視聴者は途中で離脱してしまいます。そのため動画はできるだけコンパクトにまとめるようにしましょう。
配信するチャネルや動画の内容にもよりますが、動画の尺は30秒以内がおすすめです。もし、やむを得ず動画が長くなってしまうのであれば、視聴者を飽きさせないようにはじめの8秒間に関心を引く内容を盛り込むなどの工夫が必要です。
「1動画1テーマ」に絞るのも重要なポイント。ただでさえ情報量が多い動画コンテンツは、複数のテーマを混ぜてしまうと視聴者の混乱を招き、伝えたいメッセージが伝わらなくなってしまう可能性があります。
CVまでの導線を意識する
ただ認知してもらって終わりではなく、購入やリピートといったCVにつなげることも念頭に入れた導線を意識しましょう。
動画内で視聴者の悩みを提示&解決し、購買意欲を高める
動画内や動画説明欄に商品の購入ページへのリンクを設置する
など、視聴者のフェーズを想定し、自然に誘導する工夫を施すことが重要です。
動画内でリンクが表示されるタイミングや、CTAボタンを設置する位置もCV率に影響します。ペルソナの視点で、心情まで想像して動画を制作しましょう。
まとめ
多くの情報を短時間で伝えることのできる「動画」は、訴求力が高いことからコンテンツマーケティングで活用されています。動画を活用したことで大きな利益に繋がった事例は少なくありません。
しかし、人々に与える影響力の大きさから、意図していなかった解釈をされ、ブランドイメージが下がってしまうこともあります。
そうした失敗に陥らないためにも、成功事例を参考に「ペルソナ」と「目的」を明確にし、動画を取り入れたコンテンツマーケティングを始めてみてはいかがでしょうか。