日本最大級のホームページ制作会社検索サイト

グロースハックとは?成功事例からAARRRモデル、必要なスキルまで解説

優良WEB編集部

Written by

優良WEB編集部

戦略を考えている写真

「グロースハックって何?」

マーケティングに携わる方は、ここ数年で耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

グロースハックとは、ユーザーから得た製品やサービスについてのデータを分析し、検証・改善を通して課題を解決していくマーケティングの手法のことです。Dropbox創業当初の2010年、ショーン・エリスが提唱した「グロースハッカー」という職種が基となって生まれた言葉と言われています。

本記事では、

  • グロースハックの概要
  • グロースハックと従来のマーケティングの違い
  • グロースハックの事例

について解説していきます。グロースハックをはじめるために必要な情報を網羅的に紹介しているので、ぜひ最後まで読んで取り入れてみてください。

グロースハックとは

グロースハックとは、ユーザーから得た製品やサービスについてのデータを分析し、検証・改善を通して課題を解決していくマーケティング手法のこと。アクセス数やコンバージョン率アップ、企業ブランディングの向上にとって必要不可欠なものです。
グロースハックの施策として、A/BテストやKPIの設定、コピーライティングやコンテンツ、APIの連携などが挙げられます。

グロースハックはいつ生まれた言葉?

グロースハックは、2010年にDropbox(ドロップボックス)創業当初、マーケティングを担当していたショーン・エリス(Sean Ellis)が自身のブログ「STARTUP MARKETING」にて提唱した言葉です。
彼は、元々オンラインゲーム会社に勤めており、グロースハックの手法で会社を業界トップにさせました。その功績を認められ、のちにDropboxのマーケティングアドバイザーとなり市場拡大に尽力したそうです。

参考:Find a Growth Hacker for Your Startup‐Startup Marketing Blog

グロースハックの言葉の意味とは

グロースハックは、「Growth(成長)」と「Hack(コンピュータをハックする・たたき割る)」という単語を合わせた言葉です。
ハッキングやハッカーという言葉があるように、ネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、Hackは「成長を推進し続ける」「成長を維持し続ける」というポジティブな意味もあります。

グロースハックの3つのポイント

グロースハックの3つのポイント

グロースハックでは上の図で示した3つのポイントが重要です。

商品・サービスも含めて改善

サービスや商品自体をユーザーに合わせて変化させていく(ハックしていく)という考え方です。そのため、もし最初に作った時と現在でニーズに変化があった場合は、柔軟に商品の改善や設計を変更して、作り直すことも。
作り直す際の優先順位は、サービスや商品の成長度合やリソースを基に効率を意識して決めていきます。

グロース

「商品やサービス、事業の成長がゴール」ということを意味します。
優れた商品やサービスを作れても、ユーザーに実際に使ってもらい、良さを実感してもらわなければ拡大・成長しません。

グロースハックでは、継続的に使い続けてもらえるような仕組みづくりを考えます。そして、マネタイズ(収益化)の促進には、コンバージョンが重要です。
この後にご紹介する「AARRRモデル」と呼ばれるフレームワークを用いて各段階での問題を明確にし、最適化を図ることでコンバージョンを高めることが可能になります。

データを基に仮説検証・分析

グロースハックにおいて判断基準はデータであることを示唆しています。
ユーザーの行動をデータとして見える化することで、勘や経験、成功体験にとらわれず効果的なマーケティングを展開できるためです。また、データを基に施策を立案・実施すると失敗するリスクも抑えることができます。

グロースハックに注目が集まる理由

多くの人が利用しているTwitterやFacebook、Dropboxはここ数年で飛躍的な進歩を遂げました。
これらのサービスが発展した理由の1つとして、「グロースハック」が挙げられます。グロースハックのメリットに短い期間でコストをかけずに実行できる点や、データを基に改善策を立案するため効果を上げやすいという点があります。そのため、今の時代においてグロースハックへの関心が高まっているのです。

また、ダイバーシティの考え方や技術の進歩により変化の流れも早くなっています。サービスや製品のライフサイクルは短くなり、異業種からの参入もあるので競争はますます激化していくばかりです。
そんな中、競合よりも素早くユーザーニーズを察知し、対応していかなければユーザーからの指示を失いかねません。そうならないためにも、グロースハックは必要不可欠です。

グロースハックと従来のマーケティングとの違い

マーケティングとグロースハックの違い

グロースハックと従来のマーケティングの違いは、「サービス自体に成長・拡散の仕組みをつくる」という点です。

従来のWebマーケティングでは、広告出稿によるA/BテストやSEO、アクセス解析を通して、サービスが売れる仕組みにフォーカスをしたものでした。グロースハックでも同じような施策は行いますが、商品やサービス自体に成長・拡散の仕組みを取り入れる工夫に重きを置いています。

グロースハックでは常にホームページについて分析を行い、仮説と検証、改善を繰り返すこと、言わばPDCAサイクルを回し続けることでサービスの向上を図ります。
PDCAサイクルを回す上で、時にはインターネットマーケティングに精通している人だけでなく、エンジニア、プロデューサー、デザイナー、ライターなど多方面からの意見も参考に施策を実行するのが大きな特徴です。

グロースハッカーはどんな仕事をするの?

グロースハックについてこれまでご説明してきましたが、具体的にどのようなことがグロースハックとして行われているのでしょうか。
グロースハックを専門的に行い、サービスの成長を促進する人またはチームは「グロースハッカー」と呼ばれています。彼らは”グロースハッカー”として具体的に以下のことを行います。

  1. 市場のニーズに合ったサービス作り
  2. レビューによる情報伝達
  3. データ分析からの仮説、検証、改善のPDCAサイクルを回す
  4. 広告収入に頼りすぎない運営設計
  5. サービス内にPV向上などができる仕組みを組み込む
  6. デザインやコピーライティングの精査

マーケティングだけでなく、分析にはプログラミングの知識も必要となり、エンジニア、マーケター、デザイナーのノウハウをもとにグロースハックを行います。

グロースハックの事例5選

ここでは、グロースハックを取り入れて成功した事例を5つご紹介します。

Airbnb

Airbnbは、部屋や家を貸したい人(ホスト)と借りたい人(ゲスト)をマッチングさせるサービスです。Airbnbでは、貸し出す物件のことを「リスティング」と呼んでいます。
このリスティング写真をプロのフォトグラファーに依頼できるサービスがあります。

Airbnbは世界各地の100,000件以上のリスティングを対象に、プロが撮影した部屋の写真とそうでない場合の違いについての調査を2016年に実施しました。その結果、プロによって撮影された写真を掲載したリスティングは、収入は40%、予約数は24%アップしました。
多くのホストはプロが撮った写真に変更後、1泊の宿泊料金の値上げが実現しているため、宿泊料金が26%高くなる傾向があります。

ゲストにとって、写真は部屋を選ぶうえで重要な判断材料です。プロに写真をお願いすると重要な特徴を捉えて撮影をするため、ゲストもイメージしやすくなるメリットがあります。ゲストとホスト両者にとって嬉しいサービスです。

参考:Airbnb

Dropbox

オンラインストレージサービスを展開するDropboxは大きく分けて2つの施策により利用者数を伸ばしました。

徹底したA/Bテスト

登録のしやすさを意識したホームページにしたり、サインアッププロセスや使用開始前の手順を見直したりすることでコンバージョンの改善を行いました。

友達紹介によるインセンティブを設けて登録ユーザーを増加

友達を紹介してくれたら、紹介した人もされた人も500MBの増加をプレゼントする施策を打ち出しました。その結果、Dropboxの利用者数は60%増加したそうです。

オバマ元大統領の大統領選

オバマ大統領の2007年~2008年に行われた選挙活動で、当選へと導いたのもグロースハックの手法によるものだと言われています。A/Bテストの事例としても、有名な事例の1つです。彼が大統領選を前に力を入れたのは、インターネットやSNSを用いたキャンペーンでした。

メール会員が増えれば、意思を伝える機会も多くなり支持率も増えます。さらに会員獲得は寄付にもつながるため、メール会員を増やすことは大統領選で選ばれるためにも必要でした。

オバマ氏の公式サイトでは「CHANGE」を掲げており、メール会員数の増加の要因は公式におけるちょっとした「CHANGE」でした。ちょっとした変化というのが「メインビジュアル」と「登録ボタン」の2点。戦略の立案・実施はショーン・シロカー氏のA/Bテストによるものです。メインビジュアルには画像3パターンと動画3パターンの計6パターン、登録ボタンの文章には4パターンが用意されました。すべての組み合わせを試す多変量テストのため、24パターンの中から最もCVRの高いパターンが選ばれたそうです。

メインビジュアルに「家族と写っている写真」、登録ボタンに「LEAN MORE(もっと詳しく)」が採用された公式サイトには、6000万ドルの寄付金が集まり、オリジナルバージョンに比べてコンバージョンは1.4倍になりました。このような結果から、オバマ氏は大統領として当選を果たすこととなります。

オバマ大統領の公式サイトの画像

出典:Obama’s $60 million dollar experiment-Optimizely

Uber

Uberは、アメリカ発の登録ドライバーをスマホで簡単に手配できる、ライドシェアアプリです。サービスとして展開するためにはマッチングの機能に加えて、

  1. 配車のための地図情報
  2. 運転手とユーザーが連絡をとるための機能
  3. 決算を行う機能

上の3つの機能が必要でしたが、Uberは外部のAPIを組み合わせたことにより迅速に立ち上げることができました。地図情報にはGoogleマップ、連絡手段にはtwilio、決済機能にはBraintreeのAPIを利用しています。これにより、Uberはマッチング機能の開発に専念することができたのです。その結果、2018年の時点で、Uberの売上高は113億米ドルにものぼりました。

また、Uberはコード数行で設置可能な「Uberボタン」のAPIの公開も行っています。ボタン1つで配車をすることができ、アプリをダウンロードしていない人でも手軽に車を呼べるようにしました。この機能は、国際的なホテルグループであるHyatt Hotels & Resortsのアプリにも導入されています。ホテル側にも宿泊客の利便性向上というメリットがあり、APIは両者にとってシナジー効果を生みだしているのです。

ガリバー

中古車のガリバーはコンバージョン直前の機会損失を解消するべく、チャット機能を導入。各ページのユーザーニーズを汲み取り、チャットのCTAを出し分けるという施策を行いました。
その結果、チャットのCTRが2倍以上になり、サイト全体のコンバージョン率も50%向上。そして、チャットの選択肢やメッセージをA/Bテストで比較することにより、ユーザーの「本当に知りたいこと」が明確になり、顧客理解が深まりました。

参考:CX Clip

グロースハックの基本的な考え方

グロースハックでは、フレームワーク(基本戦略・考え方)を使って分析します。

フレームワークとは

グロースハックでのフレームワークは、「成功に導くため」の分析手法を指します。中でも有名なのが「AARRR(アー)」と呼ばれるフレームワーク。別名で「スタートアップ・メトリクスモデル」とも呼ばれており、名前の通りスタートアップ企業の成長を後押しするために構築された、グロースハックにおけるフレームワークです。フレームワークを使うことで、客観的かつ合理的なグロースハックが可能になります。

AARRRモデルとは

AARRRモデルは、ユーザーの行動を以下の5つの段階に分けたときの、それぞれの英語名の頭文字を取ったものです。

グロースハックとは?成功事例からAARRRモデル、必要なスキル

・Acquisition(獲得:ユーザーの獲得をする)
・Activation(活性化:ユーザーに利用してもらえるように活性化する)
・Retention(継続:ユーザーに継続的に利用してもらう)
・Referral(紹介:友人や知人に紹介・共有・拡散してもらう)
・Revenue(収益化:売上や収益に繋がるような行動を取ってもらう)

AARRRモデルを使うことで、数字だけにとらわれることなくサービスや商品の開発・マーケティング課題が明確に。改善すべきことが共通認識となることで、戦略や施策の立案や実施がしやすくなるといったメリットがあります。

グロースハックに必要な人材とチームの資質

人材

グロースハッカーには、潜在的なユーザーニーズを定性的かつ定量的に分析し、マーケティングだけでなく、サービスの機能や設計まで踏み込んで課題を突き止める力が必要です。グロースハッカーに必要な力は以下のように表すことができます。

Webマーケティングの知識+技術力+独創性

Webマーケティングの知識はもちろん、分析や開発の技術力、そして既存のマーケティングの手法に依存せず、新たな考えを生み出す独創性が必要だと言えます。

チーム

グロースハックをチームで行う際は、各分野のスペシャリストが集結した組織横断型のチームが望ましいです。
メンバーは舵をとるリーダーを中心にアナリストやエンジニアなど、課題に対してスピーディーに対応できる体制を整えましょう。なぜなら、グロースハックにおいて、”マーケティング面”と”開発面”2つの側面からの改善が必要となる場合もあるからです。

人数は4~5人の場合もあれば、100人規模のケースもあり、さまざま。大切なのは、チーム内で上手く連携ができるかどうかです。リーダーが戦略をメンバーに共有しても、それぞれで認識が異なってしまえばグロースハックは思うように進みません。

また、グロースハックは失敗に終わることが多いことを覚えておきましょう。成功させるために粘り強くPDCAを回していこうというチームの姿勢が大切です。そして、グロースハックを導入する会社は、グロースハックを推奨する内部の文化が求められます。

「成長・拡散の仕組みづくり」における手段

API連携

APIとは、「Application Programming Interface」の略語で、ソフトウェアが互いに利用するインターフェースの仕様を意味します。つまり、ソフトウェアの機能を共有する仕組みのことです。APIを連携することで、システムやサービスの品質が高まったり、0から開発する必要がなくなるためリソースの削減ができたり、セキュリティ面での向上などのメリットがあります。

インターネット広告

Webサイトや検索エンジンを活用した広告のことを指します。Web広告やオンライン広告、デジタル広告と呼ばれることも。インターネット広告のメリットとして、ターゲットを絞れること、低コストで運用できること、正確なデータで制御できることが挙げられます。また、狙うターゲットに合わせてフォーマットや掲載する媒体を選べることも特徴の1つ。インターネット広告の種類は以下の通りです。

リスティング広告…検索結果の決まった場所に掲載
ディスプレイ広告…各媒体の広告エリアに掲載
ネイティブ広告…記事の中に自然に溶け込む形で掲載
アフィリエイト広告…商品やサービスをWebサイトやブログで紹介してもらう
動画広告…動画を利用した広告
SNS広告…SNSを利用して配信を行う広告

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツの制作・発信を通してファンを増やし、多くの収益を獲得していく方法です。潜在顧客までアプローチができ、見込み客に育てることでコンバージョンに繋げていきます。コンテンツマーケティングの具体的な方法は、Googleなどの検索エンジン最適化、Twitter・Instagram・YouTubeなどSNSの運用、メールマーケティングなどがあります。

グロースハックの分析方法

グロースハックを成功へと導くためには、データの分析が肝心です。ここでは、データ分析の方法を2つご紹介します。

コホート分析

「コホート」は「仲間グループ」を指す言葉です。コホート分析とは、ユーザーの行動をグループ化し、時間の経過に伴って、グループごとの動向を調べる分析手法。

Googleアナリティクスのコホート分析では、ユーザーのセッション開始日から特定期間のユーザーの行動を指標ごとに確認することができます。コホート分析は、ユーザー維持率を把握する際に役立つでしょう。

ファネル分析

ファネルは「漏斗(ろうと)」という意味です。目標のアクションに至るまで、徐々にユーザー数が絞り込まれて少なくなっていく様子が「漏斗」の形に似ていることからこのように呼ばれています。
ファネル分析とは、ユーザー獲得から収益までのフローの中でどこに課題があるのかを分析するものです。

ファネル分析を行うことで、各プロセスの離脱率からサイトにユーザーが訪れてからコンバージョンに繋がるまでの間で、”どこで一番多く離脱しているのか”が分かり、改善すべき点と優先度を把握することができます。

グロースハックでよく用いられる解析ツール

グロースハックでは、ツールを使っての分析が重要になってきます。グロースハックを行う上で欠かせないのが「Googleアナリティクス」です。
グロースハックでよく用いられるA/Bテストの機能が最初から備わっているため、調べたいWebページにタグを埋め込むだけで分析を行うことができます。一般的なWebサイトのアクセス解析をしたいときにおすすめのツールです。

また、「mixpanel」というツールもグロースハックでよく使われています。こちらは、ユーザーの詳細な行動を分析したい時に役立つツールで、ファネル分析が簡単に行えます。

成長段階のグロースハックに期待が高まっている!

この記事では、グロースハックについてご紹介してきました。グロースハックとマーケティングの大きな違いは、商品やサービス自体に成長する仕組みを組み込むかどうかです。

2010年に始まったグロースハックの手法は、Webマーケティングの分野において大きく広がりを見せています。この記事を参考に、是非グロースハックを取り入れてみてください。

この記事を書いたライター

優良WEB編集部

優良WEB編集部

運営元であるホームページ制作会社、JetBのメンバーで構成された編集チームです。1,000社以上のホームページ制作を行なってきた経験やノウハウを活かし、プロの目線からホームページ制作に関するさまざまな情報をお届けします。

このライターの記事一覧

この記事を監修した人

⽵内 勇⼈

⽵内 勇⼈

JetB株式会社代表取締役。2014年に同社を創業し代表取締役に就任。同社では『広告費合戦に巻き込まれないWebマーケティング』をコンセプトにWebサイト制作やコンテンツ制作サービスを提供。中小企業を中心に1,200社以上の顧客を抱える。

>この監修者の著書をアマゾンで見る この監修者の記事一覧

Share

関連記事

Share