採用サイトの作り方-無料作成ツールや制作会社の選び方、費用も解説

「採用サイトを作りたいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「無料で作れる方法や、外注費用の相場を知りたい」

こうした悩みを抱える企業の人事担当者や経営者の方は多いのではないでしょうか。採用サイトは、求職者に企業の魅力を伝え、適切な人材を獲得するために欠かせないツールです。

本記事では、採用サイトの作り方を5つのステップで解説し、無料ツールの活用法から制作会社への依頼方法、費用相場までわかりやすく紹介します。自社に最適な方法で採用サイトを作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

採用サイトとは？

はじめに、採用サイトの定義や目的、求人サイトとの違い、必要性について解説します。

採用サイトの定義と目的

採用サイトとは、企業が求職者に向けて自社の魅力や求人情報を発信する専用サイトです。企業の公式サイトと別に設けると、求職者が必要な情報を探しやすくなります。

主な目的は以下の3つです。

自社に合う人材確保のために、採用サイトを活用する企業は増えています。

求人サイトとの違い

求人サイトとは「リクナビ」「マイナビ」など、企業の求人情報を一覧で掲載する外部プラットフォームです。多くの企業を比較検討しやすい一方、競合他社と並んで表示されるため、自社の魅力が埋もれがちです。

一方採用サイトは企業が独自に運営するため、デザインやコンテンツを自由に設計でき、自社の魅力を深く伝えられます。求人サイトでは定型フォーマットに沿って情報を掲載しますが、採用サイトならブランディング重視の発信が可能です。

採用サイトが必要な理由

近年は、企業の採用サイトをチェックして応募を決める求職者が増えています。企業の理念や社風、働く環境などを重視する傾向が強まり、社員の声や職場の雰囲気などの情報が求められています。

他にも、採用サイトを運営して求人広告への依存を減らせば、採用コストを抑えることも可能です。自社サイトからの応募なら、掲載料や成功報酬が不要です。ミスマッチも防げて、長期的に活躍する人材の確保もしやすくなるでしょう。

採用サイトはただ求人情報を載せるだけでなく、企業と求職者の相互理解を深め、最適な人材を見つけるための重要なツールです。

採用サイトの作り方5ステップ

採用サイトを作るには、いくつかの重要なステップがあります。ここでは、初心者でも実践しやすい5つの手順を紹介します。

Step.1 目的・ターゲットを明確にする

まずは、採用サイトを作る目的と、どのような人材を採用したいのかを明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、求職者に響くサイト制作は困難です。

たとえば新卒採用向けなら、企業のビジョンや社風を重視したコンテンツが求められます。一方、中途採用なら、求めるスキルやキャリアパスを具体的に示すのが大切です。また、職種によっても必要なコンテンツは異なります。たとえば、エンジニアやデザイナーが対象であれば、使用する技術や開発環境、働き方をくわしく紹介しましょう。

ターゲットに応じて内容や構成は大きく変わるため「誰に向けて作るのか」を明確にしたうえで、サイト設計を行うのが重要です。

Step.2 ワイヤーフレームを作成する

次に、ページ構成を決めてワイヤーフレーム（Webサイトの設計図）を作成します。レイアウトや情報の流れを整理する、大切な工程です。

一般的な構成は以下のようなものがあります。

求職者が知りたい情報を適切に配置すれば、閲覧から応募までの流れがスムーズなサイトになるでしょう。

Step.3 デザインを作成する

ワイヤーフレームができたら、企業のブランドイメージに合わせたデザインを作成します。デザイン次第で求職者の印象は大きく変わるため、慎重に進めましょう。

企業カラーやロゴを取り入れると、統一感が出て信頼感も高まります。社員の仕事風景やオフィス写真、動画を使えば、職場の雰囲気がリアルに伝わるでしょう。

シンプルで見やすいレイアウトを意識して、必要な情報にたどり着きやすいサイトにするのが大切です。また、スマートフォンからの閲覧が増えているため、PCだけでなくスマホにも対応したレスポンシブデザインで制作しましょう。

Step.4 コーディングまたは無料ツールでサイトを作成する

デザインが完成したら、Webサイトを構築します。方法は「自作する」か「制作会社に依頼する」かの2通りです。

自作の場合、WordPress・Wix・ペライチなどの無料ツールを使えば、専門知識がなくても比較的簡単に作成できます。WordPressは自由度が高く、本格的なサイト構築にも対応可能です。Wixやペライチは、テンプレートを使って直感的に作れるため、短期間で公開したい場合に便利です。

最近では、Notionを使って採用ページを作る企業も増えています。操作がシンプルで情報整理もしやすく、小規模企業やスタートアップに適しています。ただし無料ツールの場合、独自ドメインが使えなかったりデザインに制限があったりとデメリットもあるため注意しましょう。

こだわったデザインや機能が必要な場合は、Web制作会社に依頼するのも有効です。コストはかかりますが、プロによるクオリティの高い採用サイトが実現できます。

Step.5 ページを運用・改善する

採用サイトは公開して終わりではなく、運用と改善の継続が重要です。アクセス解析を通じて求職者の動向を把握し、コンテンツや導線を改善していきましょう。たとえば、募集要項のページに多くのアクセスがあるのに応募に至っていない場合、フォームまでの導線に課題があるかもしれません。Googleアナリティクスなどを活用し、数値に基づいた改善が必要です。

また、サイトの鮮度と信頼性を保つため、社員インタビューや会社の最新情報を定期的に更新しましょう。更新が滞ると、求職者に不安感を与えかねないため注意が必要です。さらに、SEO対策を行えば、検索流入も期待できます。検索エンジンからの流入を増やし、より多くの人に見てもらえるチャンスを作りましょう。

無料で採用サイトを作る方法

採用サイトは、制作会社に依頼せずに無料で作成することも可能です。コストを抑えつつ、求職者に必要な情報を発信できるのがメリットです。ここでは、代表的な無料ツールとそれぞれの特徴を紹介します。

WordPressで採用サイトを作成する方法

WordPressは、世界中で使われている無料のWebサイト作成ツールで、採用サイトの構築にも適しています。テーマやプラグインが豊富で、専門知識がなくてもある程度本格的なサイトを作れるのが魅力です。

採用サイト向けの無料テーマを使えば、スムーズに制作を始められます。応募フォーム設置用のプラグインも多く、求職者が簡単に応募できる仕組みを整えやすいです。

カスタマイズ性が高く、SEO対策にも対応できるため、検索からの流入を狙えます。ただし、自由度が高い分、ある程度Web制作の知識が必要になる場面もあります。またWordPress自体は無料ですが、サーバー契約と独自ドメインの取得にはコストがかかることを把握しておきましょう。

Wix・ペライチなどのノーコードツールで作成する方法

Wixやペライチなどのノーコードツールを使えば、プログラミングの知識がなくても採用サイトを作成できます。テンプレートを選び、ドラッグ&ドロップでレイアウトを整えるだけなので、初心者でも簡単です。

Wixはデザインテンプレートが豊富で、自由度が高いのが特徴です。とくに、画像や動画を多用したサイトに向いています。ペライチは1ページ構成で簡潔に情報をまとめられるため、小規模な採用サイトにおすすめです。ただし制限が多く、高度なカスタマイズや独自の機能を追加しにくい点には注意してください。

Notionで採用サイトを作成する方法

近年、Notionを採用サイトとして活用する企業も増えています。本来は情報管理ツールですが、ページをWeb公開すれば簡易的な採用ページとして使えます。企業理念や募集要項、社員インタビューなどを1ページにまとめ、リンクでスムーズに情報を届けられるのが魅力です。また、リアルタイムで編集できるため、更新性にも優れています。

操作が簡単なため、スタートアップや小規模企業にとって手軽な手段といえるでしょう。ただしデザインの自由度が低いため、ブランディング重視の場合は他ツールと併用するのがおすすめです。

無料ツールを使う際の注意点

無料ツールはコストを抑えられる反面、制限も多いです。無料プランでは独自ドメインが使えなかったり、広告が表示されたりする場合があります。

また、デザインの自由度やカスタマイズ性が限られているため、企業のイメージを十分に表現できないケースもあるでしょう。SEO対策が十分にできないこともあり、検索からの集客が見込みづらくなるかもしれません。そのため、SNSなど他のメディアと組み合わせて活用するのが大切です。

採用サイトを制作会社に依頼する際の選び方

応募者に響く高品質な採用サイトを運用したい場合は、Web制作会社への依頼がおすすめです。ここでは、制作会社を選ぶ際にチェックすべきポイントを紹介します。

実績やポートフォリオをチェックする

まずは、制作会社の実績やポートフォリオを確認しましょう。過去にどのような採用サイトを手がけてきたかを見れば、得意分野やデザインの傾向がわかります。

自社と近い業種や採用形態の実績がある制作会社なら、求職者に刺さりやすいコンテンツを提案してくれる可能性が高いです。デザインの方向性も確認し、自社のブランドに合った制作会社を選びましょう。

費用やサービス内容を比較する

制作会社によって費用やサービスの範囲はさまざまです。シンプルな構成なら500,000円前後で済むこともありますが、オリジナルデザインや機能の追加がある場合は、1,000,000円を超えることもあります。

また、金額だけで判断せずサービス内容もチェックしましょう。修正対応やSEO対策、運用サポートなどが含まれているかも比較検討のポイントです。納期もあらかじめ確認しておくと、安心して任せられます。

採用マーケティングの知識があるか確認する

採用サイトは「人を集めるためのマーケティングツール」でもあります。応募につなげる導線設計や、求職者の興味を引くコンテンツ提案ができるかは、非常に重要です。

採用マーケティングに強い会社であれば、応募者目線でのサイト設計やSNS連携、SEO施策なども的確に提案してくれるでしょう。単なるWeb制作の技術だけでなく「採用に強い」かどうかも選定基準に加えるのが重要です。

採用サイトの制作費用の相場

採用サイトの制作費用は、サイトの規模やデザイン、機能によって大きく異なります。無料ツールを使えば低コストで作れますが、制作会社に依頼する場合は数10万円〜数100万円かかるケースも多いです。ここでは自作と外注の費用の違いや、コストを抑える工夫を解説します。

自作の場合

WordPressなどを使って、自作で採用サイトを作る際の主な費用は、ドメイン代とサーバー代です。独自ドメインは年間300円〜3,000円程度、レンタルサーバーは月額500円〜4,000円程度が相場です。必要に応じて有料テーマ（5,000円〜10,000円）やプラグインを購入する場合もあります。

基本的な構成であれば、年間10,000円〜30,000円ほどで運用可能です。ただし、見やすく魅力的なサイトを作るには、ある程度のWeb知識が必要になります。

制作会社に依頼する場合

制作会社に依頼する場合、費用はサイトのボリュームや求める内容によって大きく変わります。

動画やアニメーション、カスタム機能を導入する場合はさらに費用がかさみます。また、見積もり時には、修正対応・SEO対策・運用サポートなどが含まれるかも確認しましょう。

制作費用を抑えるポイント

費用を抑えるには、必要なページ数を絞るのが有効です。すべてを盛り込もうとするとコストが膨らむため、とくに伝えたい内容を優先的に構成しましょう。また、テンプレートを活用してデザインコストを削減するのも有効です。WordPressやWixには採用サイト向けのテンプレートもあるため、上手に活用すると効率的です。

さらに、複数の制作会社に相見積もりを依頼して比較検討するのも重要です。内容やサポート体制を見極めながら、予算に合った会社を選びましょう。

採用サイトに掲載すべきコンテンツ

採用サイトは求職者が企業について深く理解し、安心して応募できる情報を掲載する必要があります。応募意欲を高められるコンテンツ例を紹介します。

企業概要

企業概要は、求職者が最初に目にする情報の1つです。企業の基本情報だけでなく、理念やビジョン、事業内容などを明確に伝えれば、求職者が企業の方向性を理解できます。自社の価値観や目指す未来を伝え、企業の考えに共感する人材を集めましょう。

また、企業の歴史や成長ストーリーを掲載すると、求職者は企業の安定性や将来性をイメージできます。事業展開や社会的な役割を具体的に伝えるのが大切です。

募集要項

募集要項は、求職者が最も重視する情報です。職種ごとに具体的な業務内容を明記し、勤務地や勤務時間、給与、福利厚生などの詳細をわかりやすく記載する必要があります。

仕事内容については、単に業務の概要だけでなく「この仕事を通じて得られる経験」や「求めるスキル・人物像」についても記載すると良いでしょう。また、キャリアパスや昇進の仕組みを紹介し、入社後の成長のイメージを持ってもらうのも重要です。

社員インタビュー

実際に働いている社員の声を掲載し、職場の雰囲気や社風をリアルに伝えるのもおすすめです。求職者は企業公式の説明だけでなく、現場の社員がどのように感じているのかを知り、入社後の働き方を具体的にイメージしたいと考えています。

上記のような内容を掲載すると、求職者から企業への親近感が高まるでしょう。また新卒・中途・ベテラン社員など、異なる立場の社員の声を掲載すれば、多様な求職者に対応できるサイトになります。

社内の雰囲気がわかるコンテンツ

企業の文化や職場の雰囲気を伝えるために、オフィスの写真や動画を掲載するのも効果的です。オフィスの風景や働く様子を紹介し、求職者が「この環境で働きたい」と思えるような魅力を伝えると良いでしょう。

また、社内イベントや研修の様子を紹介すれば、社員同士の交流や企業のサポート体制をアピールできます。とくにチームワークを重視する企業の場合、社内コミュニケーションが活発である点を伝えることで、ミスマッチも防げます。

応募・問い合わせフォーム

採用サイトの目的は求職者に応募してもらうことなので、スムーズな導線を用意するのが重要です。応募フォームはできるだけシンプルにし、入力項目を最小限に抑え、求職者がストレスなく応募できるように工夫しましょう。

問い合わせフォームを設置すれば、求職者が不明点を気軽に相談できる環境を整えられます。応募前に企業とやり取りできれば、求職者の不安が解消され、応募につながりやすくなるでしょう。

採用サイトの成功事例3選

採用サイトの成功事例を3つ紹介します。雰囲気の違う企業をピックアップしているので、参考にしてみてください。

千代田工販株式会社

出典：千代田工販株式会社

千代田工販株式会社の採用サイトは、シンプルで洗練されたデザインが特徴です。トップページでは、社員の働く姿を大きな画像で掲載し、視覚的に企業の雰囲気を伝えています。

募集要項や社員インタビューなど、求職者が知りたい情報が整理されており、読みやすい構成になっています。また、仕事内容やキャリアパスについてくわしく説明されており、入社後のイメージがしやすい点も魅力です。全体的に誠実でわかりやすい採用サイトになっています。

三和交通

出典：三和交通

三和交通の採用サイトは、ポップで親しみやすいデザインが特徴です。トップページでは、明るいカラーとユニークなキャッチコピーを使用し、楽しさや働きやすさを強調しています。仕事内容や給与モデルも具体的に紹介されており、未経験者でも安心して応募できるよう工夫されています。

また、社員インタビューや動画コンテンツが充実しており、会社の雰囲気や働く魅力がリアルに伝わる構成です。遊び心がありながらも、必要な情報が整理された見やすいサイトです。

エームサービス

出典：エームサービス

エームサービスの採用サイトは、温かみのあるデザインと親しみやすいイラストが特徴です。トップページはシンプルなレイアウトと柔らかい色使いで、落ち着いた印象を与えています。仕事内容やキャリアパスもくわしく説明されており、未経験者でも業務の流れを理解しやすい構成です。

また、社員インタビューや1日のスケジュール紹介を通じて、働くイメージが具体的に伝わる工夫がされています。視覚的にもわかりやすく、安心感を与える採用サイトです。

採用サイトの作り方を知り効果的に制作しよう

本記事では、採用サイトの作り方についてくわしく解説しました。

採用サイトは、求職者に企業の魅力を伝え、適した人材を獲得するための重要なツールです。自社に合った作成方法を選び、効果的な採用サイトを運用していきましょう。本記事を参考に、採用ブランディングを強化し、より多くの優秀な人材を引きつけるサイトを作成してみてください。