
「アドネットワークって何?」
広告業界に入って間もない方は、社内で飛び交うこの言葉に戸惑われているのではないでしょうか。
アドネットワークとは、Webサイトやブログ、SNSなど複数の広告配信可能な媒体を束ねたネットワークのこと。媒体ごとに広告を出稿する必要がないため、効率的に広告配信が行えます。
本記事では、
- アドネットワークの概要
- アドネットワークと混同されやすい単語(DSP、アドエクスチェンジ)の違い
- 代表的なアドネットワーク
について画像を用いてわかりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、日々の業務にお役立てください。
目次
アドネットワークとは
アドネットワーク(Ad Network)とは、Webサイトやブログ、SNSなど複数の広告配信可能な媒体を束ねたネットワークのことです。「ネットワークを使って広告を配信する仕組み」を指すこともあります。
広告主は、ネットワークに加盟しているメディアに一括して広告を配信することが可能。媒体ごとに広告を出稿するのに比べ広告配信の効率化を図れます。
また媒体側も、アドネットワーク事業者に受注や掲載の手続きを任せることができるという、双方にとってメリットがある広告手法です。
アドネットワークを使った広告配信の流れ

上の図はアドネットワークを使った広告配信の流れを表しており、背景グレーの部分がアドネットワークを示しています。
流れ
- 広告主は各種アドネットワークでキャンペーンと広告グループを作成し、アドネットワーク事業者に出稿
- アドネットワーク事業者が独自のアドサーバーから提携しているメディア媒体に配信
┗アドサーバーには、枠管理・効果測定・データマネジメントなど、必要な機能が備わっている - ユーザーが見るデバイスに表示される
アドネットワークが生まれた背景
アドネットワークの仕組みが登場するまで、広告主と媒体運営企業は様々な問題を抱えていました。
抱えていた問題
■広告主
- 1つ1つの媒体に個別に出稿しなければならない
- 多くの媒体から、適した媒体を選定しなければならない
- 課金形態や入稿規定が異なり比較しづらい
- 媒体によって提供されるデータが異なるため分析しにくい
■メディア媒体
- 広告主への効果報告を1社ごとに行わなければならない
- PV数があまりない中小サイトの場合、広告枠が売れ残ってしまう
アドネットワークの登場により、広告主とメディア媒体の双方が抱えていたこれらの問題は解決し、広告市場で一気に浸透しました。
アドネットワークとDSPの違い
DSPとは
DSP(Demand Side Platform)とは、広告効果を最適化する、広告主のためのツールです。
広告主が行うのは、ターゲット・予算の設定と広告クリエイティブの入稿のみ。DSPが配信やデータ分析、入札単価の調整などあらゆる面を最適化し、SSP(広告収益を最適化する、広告媒体のためのツール)と連携して広告を配信してくれます。
アドネットワークとDSPの大きく違うのは、アドネットワークは「ネットワーク」であるのに対し、DSPは「ツール」であるという点。DSPは単体ではユーザーに広告を表示させることはできず、SSPを通すことで広告配信の流れを一通り行えるのです。
アドネットワークとアドエクスチェンジの違い
アドエクスチェンジとは、様々な媒体やアドネットワークが持つ広告枠を交換できる広告取引市場のことです。アドネットワークとの大きな違いは2点あります。
枠組みの大きさの違い
アドネットワークの「複数のサイトやメディア」に対し、アドエクスチェンジは「複数のサイトやメディア」+「アドネットワーク」を束ねています。すなわち、アドエクスチェンジを利用すれば、複数のアドネットワークを管理する必要がないということです。
課金形態の違い
アドネットワークの場合、課金の対象はネットワーク全体で「クリック課金(CPC)」「インプレッション課金(CPM)」「成果課金(CPA)」などネットワークによって課金方法は様々です。
対してアドエクスチェンジの場合、インプレッションに対する課金で、オークション形式により他の広告主と競い、落札できれば掲載できるという「入札型のインプレッション課金」で統一されています。アドエクスチェンジを利用すれば、不要な入札を避けることができ、費用対効果の高い広告配信が可能です。
アドネットワークのメリット・デメリット
アドネットワークの登場により、効率的に多くの媒体に広告を配信することが可能になりました。しかし、メリットだけでなくデメリットもあります。
メリット
- 1度の入稿で多くの媒体に配信できる
- 効果測定データをまとめて確認できる
- 時間や地域などの配信設定が可能なため効果を高めることができる
- 傘下の媒体がカテゴリ分けされており、適したカテゴリのみに配信できる
- アドネットワークごとに独自のターゲティング方法があり、目的に応じて配信ができる
デメリット
- 出稿媒体を選定できないため、ターゲットとしていない媒体に配信されることがある
- 広告が重複して(同じユーザーに複数回)配信されることがある
1つ目のデメリットは、広告を掲載しないメディアを事前に選別できる仕組みが生まれてきたことで解消されつつあります。しかし、ブランドのイメージを損ねる可能性が残っているため、自社のブランディングを徹底している大手企業などではアドネットワークの利用に踏み切れていないケースがあるようです。
2つ目のデメリットに関してはフリークエンシーキャップを設定することで解消できます。
フリークエンシーキャップを設定して1人のユーザーに広告を表示する回数を制限することで、ユーザーの不快感を減らしたり広告の無駄打ちを防ぐことが可能です。
代表的なアドネットワーク一覧
Googleディスプレイネットワーク(GDN)
Googleが運営する、世界最大規模のアドネットワークです。Google広告から出稿が可能で、配信先はGoogle関連サイトのほか、YouTubeや食べログ、Amebaなど200万以上のサイトと65万種類以上のアプリがあります。最低出稿金額などの制約がないため、導入しやすいです。
Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)
Yahoo!Japanが運営するアドネットワークです。
国内最大級のポータルメディアであるYahoo!Japanをはじめ、Amebaや朝日新聞、毎日新聞など提携企業のWebサイトに広告を出稿することができます。配信先は法人サイトのみです。
楽天アドネットワーク
楽天アドネットワークは、楽天が運営するアドネットワークです。
国内最大規模の会員数である楽天会員のデータを基に、ターゲティング配信ができます。
Facebook Audience Network
Facebook Audience Networkは、Facebookユーザーのデータを基に、広告配信を行うアドネットワークです。
配信先はFacebookと提携している、Gunosyなどがあります。Facebook広告の強みであるターゲティング機能をFacebookプラットフォームの枠を超えて活用することができます。
nend
nendは、日本国内最大級のスマホ(iPhone、android)に特化したアドネットワークです。
広告掲載の自由度が高く、利用者から高い評価を獲得。オーバーレイ広告(スクロールした際に追尾してくる広告)は、クリック率の高さから注目されています。
i-mobile Ad Network
i-mobile Ad Networkは、マルチモバイル計測に対応しているアドネットワークです。スマホやPC、タブレット、モバイルを横断して効果を計測できます。
アダプティブバナーに対応しているため、どういったデバイスで閲覧しても最適なサイズの広告が表示される点が大きな特徴です。
impAct
impActは、特定のジャンルを専門とした、優良法人媒体に出稿できるアドネットワークです。自社サービスにマッチしたジャンルの媒体に出稿することで、高い広告効果を期待できます。
アドネットワークを理解し、最適な広告配信方法を選びましょう
アドネットワークの登場により、それまで広告配信に割いていた多くの時間・手間を大幅に減らすことが可能になりました。
しかし、誰にとってもアドネットワークを活用することが最善というわけではなく、今回比較対象として解説したDSPやアドエクスチェンジのほうが効果が高い場合もあります。
広告を配信する際は、まず自社商品やサービスの特徴を把握し、ターゲットをある程度想定すること。そして、条件に合うサービスを選定することが大切です。