
「モバイルファーストインデックスに完全移行したの?」
Web制作やマーケティングに関わる方の中には、Googleのモバイルインデックス登録に関する動向が気になっている方も多いのではないでしょうか?
2021年3月を予定していましたが、現在モバイルファーストインデックスへの完全移行は済んでいません。一部のサイトで予期せぬ課題に直面したことが原因で移行が進んでいないそうです。
本記事では、
- モバイルファーストインデックスの現状
- モバイルファーストインデックス移行の道のり
- モバイルファーストインデックスにむけて確認すべきポイント
について解説していきます。はじめてモバイルファーストインデックスについて調べた方にもわかる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
現在、モバイルファーストインデックスに完全移行されていない
Googleは2020年7月に「2021年3月にモバイルファーストインデックスに完全移行する」と発表していましたが、予定されていた時期を過ぎても完全移行には至りませんでした。
2021年11月に公開されたブログでは、その理由と今後の展開について下記のように述べています。
従来の計画では、今年 3 月までにモバイル ファースト インデックス登録を完了させる予定でした。
その一方で、まだモバイル ファースト インデックス登録が行われていないサイトについて分析を行った結果、一部のサイトについてはさまざまな予期せぬ課題に直面しているため、移行の準備ができていないと判断されました。こうした理由から、モバイル ファースト インデックス登録の最終ステップについては、スケジュールを特に定めないことにしました。
モバイルファーストインデックス(MFI)とは
モバイルファーストインデックス(英:Mobile First Index、略:MFI)とは、PC版のWebページではなくモバイル版を優先的にインデックス登録・ページ評価する仕組みのこと。
これまでGoogleは「PC版を主軸、モバイル版は副軸」として位置付けていましたが、この考えを逆転させたのです。
モバイルファーストインデックス移行の背景
Googleがモバイルファーストインデックスに踏み切った背景に、スマートフォン(以下スマホ)のシェアの拡大があります。かつてはPCで検索していたユーザーの多くがスマホで検索をするようになり、2015年にGoogleはモバイルがPCの検索の数を上回ったと発表。
このようにユーザーが利用するデバイスがPCからモバイルへと移り変わっていく中、依然としてGoogleが評価対象とするのはPC版のページでしたが、このままではユーザーのニーズとの乖離が想定されるため、モバイルファーストインデックスへの移行に踏み切りました。
モバイルファーストインデックス完全移行までの道のり
モバイルファーストインデックスは、他のコア・アップデート同様、段階的に導入されました。詳細は以下の通りです。
時期 | 内容 |
2015年4月 | モバイルフレンドリーアップデート開始 |
2016年11月 | 「モバイルファーストインデックスに向けた実験を開始した」と発表 |
2017年12月 | 「モバイルファーストインデックスに向けてサイトを準備するためのヒント」を公開 |
2018年3月 | 「モバイルファーストインデックスを開始する」と発表 |
2019年1月 | 「モバイルファーストインデックスに移行したページが半数を超えた」と公表 |
2020年3月 | 「2020年9月にモバイルファーストインデックスに完全移行する」と発表 「70%のWebページがモバイル版に移行済みである」と公表 |
2020年7月 | 「完全移行時期を2021年3月に延期する」と発表 |
2021年11月 | 「一部のサイトで予期せぬ課題に直面し、移行は完了していない」と公表 |
Googleがモバイルを重視する動きは、2015年のモバイルフレンドリーアップデートから始まりました。「サイトがスマホ対応しているか」が検索順位に関係するようになるという内容でしたが、大きな影響は出なかったと言われています。
そこから約1年半後の2016年11月、モバイルファーストインデックスに向けて動きだしたことが発表されました。数ヵ月にわたって実験を行い、変更を反映するとのことでしたが、結果的に開始まで約1年半かかりました。
2017年12月に、サイトを準備するためのヒントとして、サイト運営者に向けて具体的な6つのチェックポイントを明かしたGoogle。サイト運営者がモバイルユーザー向けのサイトを準備してくれる、という期待を込めての公表だったそうです。
2018年3月にモバイルファーストインデックス開始してからは、モバイル向けサイトとPC版サイトの混在期が続きます。移行期間中は、準備が整ったとGoogleが判断したサイトから順に移行していきました。ちなみに、2019年7月以降に公開されたページは、初めからモバイル版のページがインデックスされるようになっています。
そして、当初は2020年9月を予定していた完全移行は2021年3月に変更されましたが、2021年11月にまだ移行が完了していないことを公表。その先のスケジュールは定めないということが発表されました。
モバイルファーストインデックスの検索順位への影響
GoogleがSEOの評価を下す際に、PCサイトを見るかスマホサイトを見るかが抜本的に変わるため、当然ながら検索順位に大きく影響します。しかし、厳密にいうとモバイルファーストインデックスそのものが、直接SEOに影響するというわけではありません。
モバイルファーストインデックス以前に行われた「モバイルフレンドリーアップデート(2015年)」からすでにスマホ対応していない(モバイルフレンドリーでない)ページは、スマホ検索結果では順位が下がるアルゴリズムになっていました。しかし、PCでの検索結果においてはページがモバイルフレンドリーかどうかは問われませんでした。
今回のモバイルファーストインデックスでは、PCでの検索結果においてもモバイルフレンドリーになっているかが問われるようになったのです。
PCページしかない場合でも、直ちにインデックスされなくなるわけではありません。そういった場合は、以下の点に着目し、少しずつモバイルフレンドリーなサイトにしていきましょう。
モバイルファーストインデックスにむけて確認するべきポイント
モバイルファーストインデックスに向けて気を付けるべきことは、PC版よりもモバイル版のページが劣っていないことです。そのために確認するべきポイントが5つあります。
- コンテンツの差異
- 構造化データ
- メタデータ
- 画像・動画
- ページ表示速度
以下では、Googleが公開する「モバイルファーストインデックスに登録するおすすめの方法」をもとに、詳しく解説していきますので、参考にしてください。
Point1:コンテンツの差異
PC版とモバイル版のコンテンツ量に、差がない状態が望ましいです。
PC版のみに対応し、モバイルでは表示できないページ等があると、検索結果に反映されない可能性があります。
ただし、PC版と同じ量にすることを意識しすぎて、情報を詰め込みすぎると、ユーザビリティの観点から評価が下がってしまうことも。バランスを見ながら適切なサイトデザインを行うよう心掛けましょう。
参照:パソコンとモバイルでコンテンツが同じであることを確認する|Google検索セントラル
Point2:構造化データ
PC版に構造化マークアップを記述してあるけど、モバイル版ではしていないという場合は、同一のデータをスマホサイトにも記述しましょう。記述後は、記述に誤りがないかGoogleの構造化データテストツールで確認することをおすすめします。
Point3:メタデータ
PC版とスマホ版で、タイトルとメタディスクリプションに差異が無いようにしましょう。スマホ版のほうがPC版に比べて文字数が少なかったり、内容が薄い場合、評価が下がる可能性があります。
参照:パソコン版とモバイル版の両サイトに同じメタデータを設定する|Google検索セントラル
Point4:画像・動画
画像
画像については、以下の5点を遵守することを推奨されています。
- 高画質な画像を使用する
- Google画像検索にサポートされている画像形式(BMP、GIF、JPEG、PNG、WebP、SVG )を使用する
- ページが読み込まれるたびに変更されるURLは使用しない
- パソコン版と同一の代替テキストを設定する
- パソコン版と同等な品質の画像を使用する
画像URLが頻繁に変更される場合、リソースの処理やインデックス登録が適切に行われないことがあるので注意しましょう。
動画
動画に関しては、以下の4点を遵守することを推奨されています。
- ページが読み込まれるたびに変更されるURLは使用しない
- サポートされている動画形式を使用する
- パソコン版と同じ動画構造化データを使用する
- 見つけやすい位置に配置する
動画の位置が下すぎて何度もクロールしないと見つけられないようだと、動画のランキングに悪影響を与える場合があるそうです。
参照:視覚的なコンテンツを確認する|Google検索セントラル
Point5:ページ表示速度
ページの表示速度は検索順位のランキング要素に含まれているため、表示に時間がかかるページは評価が下がってしまいます。
速度が遅いと離脱率が高まることにもなるので、使用する画像やファイルの容量を減らしたり、AMPを導入するなどして改善しましょう。
モバイルファーストインデックスが適用されているか確認する方法
Google Search Consoleを使って、適用されているかを確認することができます。
方法①
[URL検査]にてURL入力→[ユーザーエージェント]欄が「スマートフォン用Googlebot」であれば問題ありません。
方法②
[設定]→[概要]→[インデックスクローラ]が「スマートフォン用Googlebot」であれば移行済み。この方法で確認すると、いつスマートフォン用Googlebotに切り替わったかという情報も確認できます。
スマホ対応の方法
- レスポンシブウェブデザイン
- 動的な配信
- 別々のURL
上記3つの方法の中で、Googleが推奨しているのはレスポンシブウェブデザインです。スマホページとPCページを別々に用意した場合、PC版で存在するコンテンツやaltテキスト、構造化データ、メタデータなどが抜け落ちてしまうことがあるためです。
しかし、何らかの理由があってレスポンシブ対応が難しい場合には、動的配信またはURLを分ける方法で、PC版ページとの差異が出ないよう慎重にスマホ対応させましょう。
参照:モバイル設定を選択する|Google検索セントラル|Google Developers
1.レスポンシブウェブデザイン
レスポンシブウェブデザインとは、デバイスに応じて画面のサイズ・表示の仕方を変えられる仕組みのことです。1つのHTMLをPCとスマホそれぞれのサイズに合わせて記述したCSSによって、見せ方を出し分けられます。
先述の通り、この方法はGoogleが推奨しており、PC版よりもモバイル版の情報量が減ってしまう恐れがないため検索順位に影響が出ないことが最大のメリットです。
その他、HTMLが1つなので情報の更新や修正が1回の作業で済ませられることや、URLも1つなので、ユーザーによる共有や内部リンクを貼るといった作業が、簡単にできることが挙げられます。
デメリットを挙げるとしたら、CSSが複雑なこととデザインレイアウトにやや制約があることです。とはいえ、1度設定してしまえば後からページが増えても、スマホ・PCと分けて作業する必要がないので、結果的に最も楽な方法といえます。
参照:レスポンシブ ウェブ デザイン|Google検索セントラル|Google Developers
2.動的な配信
「ダイナミックサービング」とも呼ばれる、アクセスする端末ごとに異なるHTMLを配信する方法です。サーバーがデバイスの種類を検知し、別々のHTMLを配信します。レスポンシブウェブデザイン同様、URLは1つで、リンクの管理などが楽に行えます。
しかし、場合によってはスパム手法の1つである「クローキング」とみなされることもあるため、あまりおすすめできません。
参照:動的な配信|Google検索セントラル|Google Developers
3.別々のURL
PC版とスマホ版のHTMLファイルをそれぞれ用意し、別々のURLを構成する方法です。PC版とスマホ版をそれぞれ独立させて作成するためレイアウトデザインの表現の自由度が高いことがメリットとして挙げられます。
しかし、レスポンシブウェブデザインと比べ、倍の作業量を要するため非効率的です。また、リダイレクト設定や相互リンク指定が必要で、手間がかかる点がデメリットと言えます。
参照:別々のURL|Google検索セントラル|Google Developers
スマホユーザーを意識したサイト作りをしよう
モバイルファーストインデックスは、スマートフォンからの検索の需要が高まったことを受け、GoogleがPCとモバイルのサイトの優先順位を見直したことで始まりました。現状SEOに大きな影響が実感として感じられず、スマホ対応の重要性をあまり感じていないサイト運営者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今後評価基準が変わり影響が強くなる可能性は十分あります。モバイルでサイトを訪問するユーザーが多くいるのは事実で、閲覧者に満足してもらうには、スマホで見やすくすることが必須です。
検索結果で上位に表示されるためにスマホ対応をするのではなく、ユーザーを第一に考えた上でサイト作りに取り組みましょう。