
「自分でホームページを作ろうと思ったけど、サーバーが必要と言われて行き詰まった」
「サーバーについて調べてみたけど、難しい言葉がたくさん出てきて理解できなかった」
「色んな種類があるみたいだけど、どのサーバーを使えばいいの?」
この記事にたどり着いた人は、そんな悩みを持っているのではないでしょうか。サーバーが無ければ、ホームページをインターネット上に公開できないのため、誰にも見てもらえません。そのため、ホームページ制作の際には必ずサーバーがセットになりますが、サーバーにはいろいろな種類があるため、初心者の方が仕組みを理解するのが難しい場合もあります。
そこで今回は、Web制作のプロである弊社がホームページ制作におけるサーバーの概要や役割についてくわしく解説します。
ホームページに制作するサーバーに限定した話であれば、誰でも短時間で理解することが可能です。この記事を読めば、簡単にサーバーについて理解できるため、ホームページ制作の勉強や制作会社とのやり取りがスムーズに進むようになります。ぜひ参考にしてください。
目次
サーバーとは?
サーバーとは、「利用者の要求に応じて、情報やデータを提供保管するコンピューター」のことを指します。利用形態は大きく分けると3つありますが、外部のコンピューターやスマートフォンなどのデバイス(クライアント)から送られてきた要求(リクエスト)に対して、応答(レスポンス)して必要なデータや情報を渡すことが、サーバーの主な役割です。
サーバーの利用形態
- クライアントからの要求に対して処理を実行
→サーバーに接続されているコンピューターやデバイスからの要求に対して受動的に処理を実行する - サーバーから能動的に処理を実行
→サーバーが接続されているコンピューターやデバイスに対して能動的に処理を実行する - 高い性能を活用して処理を実行
→サーバー自体が高性能なハードウェアであることから、特徴を活かした処理を実行する
コンビニやスーパーのレジ、銀行のATM、駅の改札、携帯電話の通話の管理など、身近に存在するシステムの中にも必ずサーバーが存在します。詳細は後述しますが、サーバーには目的に応じていくつか種類があり、いずれの場合もシステムの「司令塔」としての役割を担います。
構築するシステムの目的に応じて、サーバーは使い分けられますが、ホームページ制作の現場での「サーバー」は主に「Webサーバー」のことを指します。
ホームページ制作に使用される「Webサーバー」とは?
Webサーバーは、「Webサービスを提供するサーバー」で、ホームページを構成している必要な画像やテキスト、システムを動かしているプログラムなどのファイルを保管しています。
Webサイトを閲覧する場合、まずPCやスマートフォンに入っている「Google chrome」や「Safari」などのインターネットブラウザから、検索やURLの入力を行って、目的のページにアクセスします。その際に「“ページを見せてほしいという要求”が、使用しているブラウザからページの情報が保管されているサーバー」にインターネットを介して送られます。
サーバーはその要求に答え、保管しているページのデータをブラウザに返し、ブラウザはそのデータをWebページに変換して表示します。
厳密には、他にも数種類のサーバーが絡みながら、もう少し複雑な処理が行われていますが、インターネットでWebページが閲覧できるようになっているのは「Webサーバー」の働きがあるからです。つまり、Webサーバーが無いと、ホームページやWebサービスを作ってもインターネット上に公開できません。
世界中の方にホームページを閲覧してもらうために、情報やデータが適切に保管できるサーバーを用意しましょう。
サーバーの仕組み
では、実際にサーバーがどの様に働いているのか「サーバーとクライアント」「ダウンロードとアップロード」の仕組みについて解説していきます。
サーバーとクライアント

「サーバー」はデータを保管し提供している役割とお伝えしましたが、そのサーバーに向けて「このデータが欲しい!」とリクエストを送ったり、提供されたデータを受け取る側を「クライアント」と呼びます。
この場合のクライアントとは私達が使っている「PC」や「スマートフォン」の事で、もう少し具体的に言えば、Webサイトを表示する場合は「Google chrome」や「Safari」といったブラウザがクライアントにあたります。
「次のページが見たい」「画像を保存したい」「サイト内検索をしたい」といったリクエストを私達はクライアント(PCやスマートフォン)に依頼をして、その依頼を受けたクライアント(PCやスマートフォン)はそれをシステム上の言葉に変換してサーバーへ依頼してくれている、という訳です。
ダウンロードとアップロード
ダウンロード
クライアントがサーバーからデータを受け取る事を「ダウンロード」といい、身近な例で言えば、インターネット上で公開されている画像や動画、ファイルなどを自分のPCやスマートフォンに保存したりするのもダウンロードです。
アップロード
クライアントがサーバーにデータを渡す事を「アップロード」と言い、身近な例で言えば、SNSに画像や文章を投稿することもアップロードに該当します。
補足情報
Webサイトを公開するには前提として、Webサイトのデータが一般の人からアクセスできるサーバーにアップロードされている状態にする必要があります。細かい話をすれば自分のPCをサーバーにすることも可能ですが、一般的には自分のPC内で作成をしていたWebサイトのデータは、そのままでは自分だけしか見ることができない状態です。世界中の人達に見てもらえる状態にするために、Webサイトのデータをサーバーにアップロードして預けます。
サーバーの役割や用途
「Webサイトを閲覧する」以外にも、メールや動画の視聴、スマホアプリなど、インターネット上の様々なサービスを利用する際にサーバーは必要不可欠です。
サーバーは用途によっていくつか種類が存在します。Webサービスでよく利用されるものは大きく5つあり、役割が異なる複数のサーバーの連携によって、Webサイトの公開やメールの送受信が可能になっています。
Webサービスで利用されるサーバー
- Webサーバー
- メールサーバー
- DNSサーバー
- FTPサーバー
- SSHサーバー
Webサーバー
Webサーバーは、ホームページ・Webサイトの情報を保管し、インターネット上で公開する為のサーバーです。
文章が書かれたHTMLファイル、ページ内の構成やデザインを調整するCSSファイル、画像ファイルなどが預けられていて、それをクライアント(インターネットブラウザ)に要求されたときに取り出してレスポンスを返してWebサイトを表示させています。
メールサーバー
メールサーバーは、メールを送受信する役割を持ったサーバーのことです。メールサーバーは、3種類あり、それぞれ役割や特徴や役割異なります。
名前 | 役割 | 特徴 |
SMTPサーバー | 送受信 |
・クライアントから依頼があったメールを送信する ・サーバー間でメールの受信を行う |
POP(POP3)サーバー |
受信 | ・SMTPサーバーに届いたメールをクライアントのメールソフトにダウンロードする |
IMAPサーバー | 受信 | ・SMTPサーバーに届いたメールをクライアントのメールソフトから閲覧できるようにする |
通常、メールは「SMTPサーバー」を経由してサーバー間でメールの送受信を行っているため、サーバーのメールボックスに入らなければメールの確認ができません。そこで「POPサーバー」と「IMAPサーバー」のいずれかを利用すると、普段利用しているPCやスマートフォンなどのデバイスでメールの確認ができるようになります。
普段から難しい設定を行わなくても、気軽にメールのやり取りができるのは、メールサーバーが上手に連携して働いてくれているためです。
また、「POPサーバー」と「IMAPサーバー」はどちらもメールを受信するためのサーバーですが、
- POPサーバー:メールをサーバーからデバイスにダウンロードする
- IMAPサーバー:メールをサーバーに残したままデバイスで閲覧できるようにする(デバイス側にはメールのデータは残らない)
という違いがあります。「POPサーバー」はデバイス側でメールのバックアップが取れる、「IMAPサーバー」はデバイス側にメールのデータが残らないのでセキュリティの面が強いなど、それぞれ強みがあるため、必要に応じて使い分けましょう。
DNSサーバー
DNS(Domain Name System)サーバーはIPアドレスとドメインを紐づけるためのサーバーのことです。Webサイトやメールの運用には欠かせない役割を担っています。
IPアドレスとドメインはインターネット上の住所のようなものです。くわしくは下記のGoogleのIPアドレスをドメインを参考に解説していきます。
GoogleのIPアドレスとドメイン | |
IPアドレス | 172.217.175.78 |
ドメイン | google.com |
上記のIPアドレスとドメインは、どちらも同じ場所を表していますが、“0から255までの数字を4つの「.」で区切って表記”するIPアドレスに対して、ドメインは“人間にも分かりやすい文字列で表示”されます。
数字がいくつも並んだIPアドレスは、コンピューターにとっては理解しやすいですが、人間にとっては認識しづらいです。一方で、わかりやすい文字列で表記されているドメインは人間には覚えやすいですが、コンピューターにとっては認識しづらいです。
そこで、DNSサーバーが双方が認識しやすいように、変換して表示する役割を担っています。

つまり、このIPアドレスとドメインを管理・変換し翻訳機の様に結び付けてくれているのがDNSサーバーで、インターネット上でWebサイトを表示するために必須のサーバーです。
関連情報
ドメインについてもっと詳しく知りたいという方は別記事でも解説しているので、よろしければ併せて覧ください。
<ドメインとは?その仕組みや意味を初心者にもわかりやすく解説>
FTPサーバー
FTP(File Transfer Protocol)とはファイルを転送する為のプロトコル(約束事)の事で、FTPサーバーはWebサーバーへデータを送受信する役割を担っているサーバーです。
Webサイトを公開するには自分で作成したサイトの情報を、Webサーバーにアップロードする必要がありますが、アップロードをする際には、FTPサーバーを使用します。FTPサーバーを使いWebサーバー内に置いてあるデータの操作を行う事ができ、データをダウンロードする際にも使用されます。
SSHサーバー
SSH(Secure Shell)サーバーはSecure Shell(セキュアシェル)の略称で、クライアントの情報を暗号化するサーバーです。
ネットワーク上で離れた場所にあるサーバーにパスワードや暗証番号などを送信するとき、万が一他の人がサーバーに不正アクセスした場合サーバー上の個人情報が漏洩してしまう可能性がありますが、SSHサーバーは認証部分を含め全ての通信が暗号化されるため安全に通信できるようになります。
自社サーバーとレンタルサーバーの違い
サーバーには自社で管理を行う「自社サーバー」と専門業者が管理を行う「レンタルサーバー」があります。それぞれの違いや特徴についても解説していきます。
自社サーバー
読んで字のごとく自分の会社などで所有しているサーバーのことで、全て自社環境で管理・運営をしていきますが、上記「アップロード」の項目の補足情報で軽く触れた通り、本格的なサーバーを購入する以外にも、自分のPCをサーバーにすることもできたりします。
自社サーバーのメリット
カスタマイズなど自由に行う事ができるので、既存のシステムでは対応できない特殊なシステムを構築していったりと自由度の高い運用が可能です。
自社サーバーのデメリット
サーバー環境の構築から運用・メンテナンスまで全て自分達で行わなければならないので専門的な知識や技術が必要になるため初心者や知識が少ない方ですと非常に難しく、ハードルが高いでしょう。
また、サーバーは24時間稼働させる必要があるので、それを一晩中監視するためのセキュリティを付けるとなると現実的に難しいケースも出てきます。
補足情報
サーバー用として使用するパソコン耐用年数は6年と法定耐用年数表で定められており、固定資産として計上する場合にはこの耐用年数に基づき減価償却を行っていく必要があります。
出典元:国税庁
レンタルサーバー
サーバー会社からレンタルするサーバーのことです。初期設定・保守・セキュリティなど、サーバー会社が行ってくれるため、専門的な知識や技術がなくても手軽にはじめられます。
万が一サーバー側にトラブルや障害が起きた場合もサーバー会社が対応してくれ、24時間体制でセキュリティを付けておく必要もありません。サービス内容によっては容量などの利用制限がありますが、一般的な中小企業のWebサイト運営であれば基本的に問題ないといえるでしょう。
近年では、月額費用は変わらずに、年々容量の増加やスペックの向上も見られるため、安価で高性能なレンタルサーバーも増えてきています。
レンタルサーバーの種類
一括りに「レンタルサーバー」といっても、いくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在するため、用途に合わせた適切なサーバーを選びが大切です。
種類 | 物理/仮想 | 価格帯 | 自由度 |
共用サーバー | 物理サーバー | 低 | 低 |
専用サーバー | 物理サーバー | 高 | 高 |
クラウドサーバー | 仮想サーバー | 中 | 中 |
VPS | 仮想サーバー | 中 | 中 |
共用サーバー
共有サーバーとは物理的な1台のサーバーを複数の人が共有して利用していくサービスです。マンションやアパートのように、1つの建物に居住者がたくさんいるようなイメージが分かりやすいかと思います。
複数人で使用する為、共同利用者のサイトにアクセスが集中した際に、サイトが重くなるなどの影響を受ける可能性もありますが、費用が安く専門知識が無くても申込後すぐに利用できるというメリットがあるので個人のブロガー、個人事業主、中小企業のサイト運営で利用されるケースが多いです。
専用サーバー
専用サーバーは物理的な1つのサーバーを占有して利用していくサービスで、例えると一軒家で暮らしているイメージです。
1つのサーバーを独占して使用できる為、他の利用者の影響を受ける心配なく安定して運用することが可能で、たくさんアクセスがあるような大規模サイトの運営に使用されます。共用サーバーと比べ自由度も高いですが、その分費用も高いです。また、自分で設定・管理・メンテナンスをしていくので専門知識が必要で、個人契約の場合は運用が大変になる可能性もあります。
VPS
VPSとは「Virtual Private Server(バーチャル・プライベート・サーバー)」の略で、仮想の専用サーバーのことです。
VPSそのは共同サーバーなので、1つのサーバーを複数人で利用することになりますが、各利用者が専用サーバーのような感覚で使用することが可能です。そのため、共同サーバーながら、専用サーバーと同様の自由度があります。
専用サーバーより費用を抑えて自由度の高い運用ができ、共同サーバーと専用サーバーのいいとこ取りをしたようなサーバーですが、運用にはある程度の知識が必要となるため、注意が必要です。
クラウドサーバー

クラウドサーバーとは物理的なサーバーの利用領域を仮想的に割り当てて利用するサービスで、物理サーバーを分割して使っていくのでVPSと似ていますが、VPSより高い自由度を持っています。
アクセスが増えた際に容量を拡大するなど、サーバーの規模やスペックを自由に変更して柔軟に対応でき、従量課金制なので必要な時に必要な分だけ利用できるというメリットがありますが、その点、月々のコストが見えづらくもあります。
また、クラウドサーバーも環境の構築や運用には専門的な知識が必要です。
自社サーバーとレンタルサーバーどちらが良い?
各サーバーにメリット・デメリットが存在するため自社サーバーとレンタルサーバーに優劣はありません。制作するホームページの規模や、サーバーを利用する目的に合わせた適切なサーバー選びが大切です。
しかし、専用サーバーは、複雑な機能を搭載した大規模なサイト構築や、社内でカスタマイズしながら多用なシステムを動かしていくなど、一定以上の規模の開発や運用を前提としない場合は、管理面でのコストが見合わないケースが多いため、あまりおすすめできません。
店舗のコーポレートサイトや、小規模なECサイトなどであれば、レンタルサーバーで充分運用できるケースがほとんどなので、もしサーバー選びに迷った際は、制作会社や専門知識を持っている人に相談してみましょう。
まとめ
この記事ではサーバーにホームページ制作に関連があるサーバーについて紹介していきました。
サーバーは、インターネット上のサービス利用やWebサイト運営に必ず必要なものなので、これからWebサイト構築を検討されている方は、ぜひこの記事の内容も参考にしていただきつつ、各サーバーの役割や用途、スペックやコスト面などもしっかり踏まえて、ご自身に合ったサーバーを選んでください。