
「直帰率って何?」
「直帰率と離脱率って何が違うの?」
Webサイトの運用に関わる方は、このような疑問を抱いているのではないでしょうか。
直帰率とは、別のページに移動することなく1ページだけ見て離脱した割合のことです。直帰率が下がればユーザーがサイト内を滞在する時間が延び、購入や問い合わせといった成果に結びつきやすくなります。
本記事では、
- 直帰率と離脱率の違い
- Googleアナリティクスでの確認方法
- 直帰率の改善方法
について解説していきます。これからホームページの改善をしようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
直帰率とは
前提として「直帰」とは、サイトを訪れて初めの1ページだけを閲覧しサイトを離れる、というユーザーの行動のことです。
そして「直帰率」は、当該ページから始まった全てのセッション(訪問)に対して当該ページで直帰したセッションの割合を指します。
直帰数÷セッション数×100=直帰率(%)
例えば、上の図のようにサイトに5セッションあったとして、そのうち2セッションが直帰し、残りの3セッションは他のページを閲覧してから離脱した場合、直帰率は40%(2÷5×100=40)です。
ちなみに、Googleアナリティクスでは以下のように定義されています。
直帰率とは、1 ページのみのセッション数をすべてのセッション数で割った値のことです。つまり、すべてのセッションの中で、ユーザーが 1 ページのみ閲覧して、Google アナリティクス サーバーに対するリクエストを 1 回のみ発生させたセッションが占める割合のことです。
直帰率と離脱率の違い
直帰率と混同しやすいのが「離脱率」です。
離脱率とは、当該ページの全てのPV(閲覧)数に対して当該ページで離脱された回数の割合を指します。
離脱数÷PV数×100=離脱率(%)
直帰率と離脱率の大きく異なるポイントは、対象となる範囲の定義です。直帰率の場合「当該ページから始まったセッション」に限られるのに対し、離脱率の場合「当該ページの全てのPV数」となります。
直帰率・離脱率が高いと悪いのか
必ずしも直帰率や離脱率が高いページは悪いとは限りません。
典型的なパターンに「検索でヒットしページを訪れたけど欲しい情報が無いために直帰されてしまう」ことがあります。これは悪い直帰の傾向であり、コンテンツの改善が必要です。
しかし、ヘルプページとなると話は変わってきます。なぜなら直帰率が高いヘルプページというのはそのページだけでユーザーの問題を解決に導いていることを意味するからです。逆に直帰率が低いヘルプページは、説明が不十分であったり、ユーザーのニーズに合っていない内容になっている可能性があります。
また、コンバージョン(CV)が目的であるランディングページも直帰率でページの評価をすることができません。
ランディングページはそもそもWebサイトのゴールなので別のページへのリンクはほとんど貼りません。そのため直帰率・特に離脱率は高くて当然で、仮に直帰率が低い場合でもCVが少なければ本来の目的を果たせていないことになります。
このように、ページの性質によっては直帰率・離脱率を下げることに固執しなくても良い場合があるのです。
直帰率と合わせて確認したいその他指標
滞在時間
直帰率・離脱率と合わせて確認したい指標の1つ目は「滞在時間」です。滞在時間は、「当該ページを閲覧し始めた時間」と「次のページに移り閲覧し始めた時間」の差分で計測されるため、直帰したユーザーの滞在時間を知ることはできません。あくまで滞在時間は1つの判断材料であることを覚えておきましょう。
直帰率は高く滞在時間が長い場合、ユーザーにしっかり読まれているページであると推測できます。一方、直帰率が高く滞在時間が短い場合、何か改善すべき点があるはずです。
回遊率
2つ目の指標は「回遊率」です。回遊率は、1度のサイト訪問でユーザーが何ページ閲覧したかを表す指標で、Googleアナリティクスでは「ページ/セッション」にあたります。
一般的に、回遊率が高いとユーザーのエンゲージメント率が高く、評価が高いWebサイトとされています。しかし、ユーザーが欲しい情報を見つけられず、サイト内を回遊しているだけとも考えられるため一概には言えません。
このように、複数の指標を確認することで、サイトやページの現状を様々な角度から見ることができ、改善すべき点を見つけることができます。
Googleアナリティクスで確認する方法
実際にGoogleアナリティクスでサイトの直帰率・離脱率・滞在時間・回遊率を確認する方法を解説します。
直帰率
サイト全体の直帰率
- [ユーザー>概要]をクリック
- サイト全体の直帰率を確認することができる

ページごとの直帰率
- [行動>サイトコンテンツ>すべてのページ]をクリック
- ページごとの直帰率を確認することができる

チャネル(参照元)別の直帰率
- [集客>すべてのトラフィック>参照元/メディア]をクリック
- チャネル(参照元)別の直帰率を確認することができる

離脱率
サイト全体の離脱率
- [行動>概要]をクリック
- サイト全体の離脱率を確認することができる

ページごとの離脱率
- [行動>サイトコンテンツ>すべてのページ]をクリック
- ページごとの離脱率を確認することができる

滞在時間
サイト全体の滞在時間(平均セッション時間)
- [ユーザー>概要]をクリック
- サイト全体の滞在時間(平均セッション時間)を確認することができる

ページごとの滞在時間(平均ページ滞在時間)
- [行動>サイトコンテンツ>すべてのページ]をクリック
- ページごとの滞在時間(平均ページ滞在時間)を確認することができる

回遊率
サイト全体の回遊率(ページ/セッション)
- [ユーザー>概要]をクリック
- サイト全体の回遊率(ページ/セッション)を確認することができる

今回解説した4つの指標以外にもGoogleアナリティクスで知ることができる指標はたくさんあります。サイトの目的や状態に合わせて確認しましょう。
直帰率が低すぎる場合設定ミスを疑う
本来、直帰率が低いことは良いことですし、サイトを運営する人が目指すべき状態です。しかし、直帰率が20%以下、特に1桁といったあまりにも低すぎる場合は正確に計測できていない可能性があります。
正確な計測ができていない原因として考えられるのが、Googleアナリティクスタグが1つのページに誤って複数設置されているケースです。
Googleアナリティクスタグが正しく1つだけ設置されている場合、ユーザーが該当ページを訪れるとページビューは1となりますが、重複して設置されていると、1回の訪問でページビューは2と計測されてしまいます。
直帰率やページビューだけでなく他の指標も正しく計測されていない恐れがありますので、万が一Googleアナリティクスタグの重複を見つけた際は残すべきタグを確認し、不要なタグを取り除きましょう。
直帰率の目安
直帰率の目安は、「業界・業種」「サイトのタイプ」「流入元」の違いによって大きく異なります。
業界・業種別
業界・業種ごとの直帰率の目安は以下のようになります。
飲食 | 65.62% |
サイエンス(ITなど) | 62.24% |
ペット・動物 | 58.04% |
ニュース | 57.93% |
アート・エンタメ | 56.52% |
本・文献 | 56.04% |
美容・フィットネス | 55.86% |
ホーム・ガーデン | 55.73% |
法律・政府 | 55.06% |
コンピュータ・電子 | 54.54% |
趣味・レジャー | 54.04% |
インターネット・通信 | 53.59% |
バイク・クルマ | 51.96% |
金融 | 51.71% |
スポーツ | 51.12% |
旅行 | 50.65% |
ビジネス | 50.59% |
就職・教育 | 49.34% |
オンラインコミュニティ | 46.98% |
ゲーム | 46.70% |
ショッピング | 45.68% |
不動産 | 44.50% |
出典:Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?
飲食業界と不動産業界では直帰率に20%以上の差があります。この差が生じる理由は、それぞれのサイト構造の違いによるものと考えられます。
飲食業界のサイトの場合、構造がシンプルです。場所や営業時間、電話番号などの情報のニーズが高く、該当のページを見れば完結するため直帰率が高い傾向があります。
対して不動産業界のサイトの場合、抱える情報量が多く複数のページで構成されるケースが多いです。ユーザーの回遊を促すようになっているため直帰率が低くなっています。
サイトのタイプ別
サイトのタイプごとの直帰率の目安は以下のようになります。
EC、リテール | 20~45% |
B2B | 25〜55% |
リードジェネレーション | 30~55% |
非商用サイト | 35~60% |
ランディングページ | 60~90% |
辞書サイト、ブログ、ポータルサイト | 65~90% |
出典:Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?
ブログを含めたコンテンツ指向のサイトは1つのコンテンツを読み終えると次のページに移らずに直帰してしまうことが多いです。また、検索からの流入だけでなくソーシャルメディアに貼られたリンクから訪問するケースも多く、その場合は元いたソーシャルメディアに戻る傾向があります。
これらの自然な流れを変えることは難しく、一部のコンテンツ指向のサイトのみが他のページへの誘導を現実化していますが、平均的なサイトの直帰率は比較的高くなっています。
チャネル(参照元)別
チャネル(参照元)ごとの直帰率の目安は以下のようになります。
ディスプレイ広告 | 56.50% |
ソーシャルメディア | 54% |
直接の訪問(direct) | 49.90% |
リスティング広告 | 44.10% |
オーガニック検索 | 43.60% |
他サイトのリンク | 37.50% |
Eメール | 35.20% |
出典:Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?
まず注目したいのが、ディスプレイ広告からのセッションが最も直帰率が高いという点。
バナー広告で起こりがちなのが、手が当たってしまいリンク先に訪問してしまうという「誤タップ」現象です。この場合、もともと関心のないユーザーに表示されてしまうこととなり、直帰率が高くなっていることが想定できます。
次にソーシャルメディアからのセッションが高くなっています。
ソーシャルメディアのリンクからサイトを訪れた人は該当のページを読み終えると他のページを見ることなくソーシャルメディアに戻ることが多いのです。
そして、最も直帰率が低いのがEメールからのセッションです。
この結果の最大の理由は、メールを受信したり確認している時点ですでに関心を持っているためサイト内で様々なページを見て回っていることが考えられます。
直帰率が高い原因
コンテンツの内容がニーズと合っていない
検索エンジンや広告を経由してのサイトを訪れるユーザーに多いケースで、期待していた情報が掲載されていない、もしくは不十分ということがあります。
ユーザーが持つニーズと合っていないページと判断されてしまうと、ユーザーは再び検索画面に戻り、他のWebサイトを探すはずです。
導線が整っていない
コンテンツが良いと感じ、他のコンテンツに興味を持ったとしても次のステップへの導線、すなわちリンクが貼られていなかったりわかりづらいとユーザーは諦めてサイトを離脱(直帰)してしまいます。
コンテンツ内で触れた情報に関連するコンテンツや詳細情報への導線が無かったり、問い合わせや資料請求への導線が無かったりすると直帰率は高くなりやすいです。
ページの読み込みが遅い
ページの読み込みが遅いと、完全に表示されるまで待ちきれず離脱(直帰)してしまうことがあります。
モバイルサイトの読み込みに3秒以上かかると、訪問者の53%が離脱します。
[原文]of visits are abandoned if a mobile site takes longer than 3 seconds to load.
参照:https://www.thinkwithgoogle.com/consumer-insights/consumer-trends/mobile-site-load-time-statistics/
Googleが過去にこのようなデータを公表しており、読み込みの遅さは致命的であるといえます。
デバイスに対応していない
スマホ対応していないWebサイトの場合、文字のサイズが小さく読みづらかったり画像が大きすぎて一目で確認できなかったりといったストレスをユーザーに与えてしまうことがあります。
近年ではPC・スマホだけでなくタブレット端末も普及してきたため、あらゆるデバイスへの対応が求められています。
そのページだけで目的が果たせた
ユーザーのニーズにマッチしており、そのページだけで目的が果たせたことで直帰しているパターンも。
この傾向が強いページとして、ヘルプページ、問い合わせページ、ブログやニュース記事などが挙げられます。
直帰率が高く滞在時間が長い場合はこのケースに当てはまる可能性が高いです。
直帰率の改善方法
流入キーワードの確認
まずは、ページを訪れるユーザーがどのような検索でページにたどり着いたかをGoogleサーチコンソールなどで確認しましょう。そうすることで、ユーザーのニーズを予測することができ、キーワードを見直すかコンテンツを改善するかという選択が可能になります。
コンテンツの質の向上
コンテンツがユーザーにとって有益なものとなっているか見直し、質の高いものへと改善することも必要です。
注目すべき点としては、
- コンテンツの長さが適切か
- コンテンツは読みやすいか
- 競合サイトと差別化ができているか
などが挙げられます。
業界や業種、狙いたいキーワードによって適切とされる度合いは異なるため、競合サイトを参考にしてみましょう。
配置の見直し
ユーザーが興味を持った情報にスムーズに移行できるよう、リンクやCTAボタンの配置に工夫が必要です。
一目見てわかるような配置にしましょう。
読み込み時間の短縮
サイトのビジュアル面をこだわることは良いことですが、パララックスを取り入れ動きをつけたり、解像度の高い画像を多く使ったりするとページの読み込みは遅くなってしまいます。
画像を最適化し、できるだけ容量を抑えたり、不必要なスペース、改行などを取り除きファイルを軽量化したりといった方法で、読み込み時間を短縮させましょう。最近では、画質を落とさずにデータサイズの圧縮ができる「WebP」などの画像フォーマットが主要ブラウザに対応するようになってきています。場合により画像フォーマットなども見直してみると良いでしょう。
また、Googleも推奨しているAMP(モバイル端末でページを高速で表示させるための仕組み)を導入するのも1つの手です。
モバイル最適化
近年スマホやタブレットが主流になってきたことでモバイル最適化は重要視されています。
PCサイトとスマホサイトをそれぞれ制作する方法もありますが、Googleが推奨しているレスポンシブWebデザインの導入がおすすめです。URLが1つですむため、制作後の作業工数を減らせるという利点もあります。
直帰率以外の指標もバランスよく改善しよう
直帰率はサイトの状態を知るうえで重要な指標です。しかし、直帰率の数字だけを見て判断してしまうのは意味がありません。
今回解説した直帰率・離脱率・滞在時間・回遊率の他にも様々な指標があります。全ての指標をくまなくチェックするのは容易ではありませんが、バランスよく最適化していくことが得策です。
そのためにはまず様々な指標の意味を理解すること、また競合や同じタイプのサイトの指標の目安を把握しておくことで改善策が見つかるでしょう。
この記事を参考に、まずは直帰率を正しく理解するところから始めてみてください。