Adobe Fireflyのプロンプト例を紹介！認識精度や対応言語についても解説

「Fireflyでおすすめのプロンプトはある？」
「Fireflyのプロンプトの認識精度は高い？」

Fireflyを使っている方の中には、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。Adobeが開発したFireflyは、プロンプトと呼ばれるテキストによる指示で、さまざまな画像を生成できるAIです。活用できれば、今まで難易度の高かったクリエイティブな作業が誰でも簡単にできるようになります。

しかし、Fireflyを使いこなすにはプロンプトに関する知識が不可欠です。指示を上手く伝えられないと、イメージ通りの画像生成が難しくなります。そこで本記事では以下の内容について解説していきます。

この記事を読めば、Fireflyのプロンプトの理解が深まり、イメージ通りの画像が生成できるようになります。ぜひ参考にしてください。

Fireflyのボタンから追加できるスタイル・要素

Fireflyはプロンプトだけでなく、画面右側の操作パネルからも画像にスタイルや要素を追加できます。

操作パネルからスタイルを追加できるのは、以下3つの機能です。

各機能で追加できる要素について、確認していきましょう。

Text to imageのプロンプト

Text to imageは、プロンプトの入力で画像生成ができる機能です。操作パネルから、以下5つの要素を追加できます。

各項目ごとに、ボタンで指示できる要素を紹介していきます。

コンテンツタイプ

操作パネルで追加できる要素は次の通りです。

コンテンツタイプは生成する画像を、写真やアート風にできる項目です。何も選択していない「None」の場合は、写真寄りの仕上がりになります。

スタイル

操作パネルで変更できるスタイルは63個あり、以下6つのカテゴリに分けられています。

それぞれで追加できる要素の意味と、実際に生成した画像を以下に示します。なお、プロンプトには「Kyoto in the evening」と入力しています。ただし、「Materials」カテゴリのみ、単一のオブジェクトでスタイルの違いを確認したかったため、「An apple on the table」としました。

「Movements」カテゴリのスタイルは、生成画像全体の印象をガラリと変えられます。風景や部屋、背景と相性が良いでしょう。

「Themes」カテゴリのスタイルはどんな出力内容とも相性が良いです。特に、「Product photo」「Hyper realistic」は生成物のクオリティが上がる印象なので、常に追加しておいても良いでしょう。

「Techniques」カテゴリで、描画の種類を変更できます。同じプロンプトでも、与える印象を大きく変えられるため、イメージに最適なスタイルを選択しましょう。

「Effects」カテゴリのスタイルで、画像にさまざまな加工を付与できます。画像にリアリティを持たせたい場合に重宝するでしょう。

「Materials」のみ、全体ではなく個別のオブジェクトに焦点を当てた画像を生成したかったため、プロンプトを「An apple on the table」と入力しています。基本的には追加したスタイル通りに画像を生成でき、質も高いです。

しかし、「Fur」「Fablic」のみ、オブジェクトではなく、背景にスタイルが適用されてしまいました。上手く適用されない場合は、適宜テキスト入力によるプロンプトを併用しましょう。

「Concepts」カテゴリのスタイルで、画像全体の雰囲気を変えられます。雰囲気の指定がない場合でも「Beautiful」は、画像全体のクオリティを高める傾向にあるため、おすすめのスタイルです。

カラー・トーン系

操作パネルで追加できる要素は下記の通りです。

下記画像は、プロンプトに「Beautiful flower garden, magnificent house」（きれいな花畑、立派な家）と入力し、それぞれ要素を追加した結果です。

それぞれ追加した通りに、カラー・トーンを追加できました。全体的な雰囲気に加え、花の色や家の色などにも効果が及ぶようです。

光系

操作パネルで追加できる要素は次の通りです。

下記画像は、プロンプトに「Statue taken above the city」（街の上で撮影した銅像）と入力し、それぞれ要素を追加した結果です。

さまざまな光を追加できました。オブジェクトの質感を際立たせたい場合などに積極的に利用してみましょう。

構成・画角

操作パネルで追加できる要素は以下の通りです。

下記画像は、プロンプトに「Giraffe eating leaves in the savanna」（サバンナで葉を食べるキリン）と入力し、それぞれ要素を追加した結果です。

オブジェクトの画角などを指定できました。特に「Wide angle」「Shot from above」は他の写真との差がわかりやすいです。画面構成にこだわる方は積極的に活用してみましょう。

Text effects

Text effectsはプロンプトの入力で、テキストにエフェクトを付けられる機能です。動物や食品などさまざまなプロンプトに対応しており、操作パネルからもエフェクトを選択できます。

上記画像のように、「Flowers」を選択すると「pink hawaiian hibiscus flowers and leaves realistic」とプロンプトに入力されます。操作パネルに表示されているサンプルは、プロンプトの一部分を表しているようです。

下記に、カテゴリ別のサンプルプロンプトと、生成した画像を示します。

Texteffectの操作パネルはサンプルプロンプトの他にも、フォントやエフェクトの範囲を設定できるため、ニーズに近いテキストスタイルが作成できるでしょう。

Generative recolor

Generative recolorは、SVG形式の画像の色を再構成できるツールです。用意されている18色の中から基調とする色を選択できるほか、漠然としたイメージをプロンプとして入力することもできます。また、操作パネル上のボタンから、「補完色」「類似色」の使用など利用する色の絞り込みが可能です。

Generative recolorに用意されているプロンプトのサンプルは次の通りです。

それぞれの指示内容に合わせた色で再構成できました。また、プロンプトは色だけでなく、「Trippy disco lights」のように雰囲気を表す言葉でも良いようです。

Generative recolorでは、「調和」という項目から以下5つのエフェクトを選択できます。なお、それぞれの効果は色相環と関係があるため、下記画像の上部に対応する色相環も表示します。

エフェクトを利用すると、補色や類似色を使った構成を簡単に作成できます。インパクトを与えたい場合や、落ち着いた色味にしたい場合などに活用してみましょう。

Fireflyでおすすめのプロンプト

Fireflyでおすすめのプロンプトについて、下記4つの機能ごとに紹介していきます。

Text to image

下記はText to imageでおすすめのプロンプトです。

Text to imageは、指示を増やせばディティールが細かい画像を生成できます。上記のプロンプトを組み合わせて、イメージに近い画像生成に挑戦してみましょう。

Generative fill

Generative Fillでおすすめのプロンプトは以下の通りです。

Generative Fillは背景を削除する機能があるため、世界の有名な場所や自然に関するプロンプトを入力すれば、旅行に行ったような画像を生成できます。また、「bokeh」と入力すると、被写体にピントを合わせたポートレートのような写真が生成できます。

Text effects

Text effectsでおすすめのプロンプトです。

さまざまなプロンプトに対応しているText effectsですが、特に「water」「diamond」など素材や物質系と相性が良いです。また、「dipping」は他のプロンプトと組み合わせるとエフェクトを付けたような、動きのあるテキストを生成できます。

Generative recolor

以下は、Generative recolorでおすすめのプロンプトです。

Generative recolorは、色を再構成するツールです。概念や雰囲気を伝えるためのプロンプトでも問題ありませんが、色のイメージが湧きやすい言葉だと高精度で描写してくれます。

Fireflyは日本語にも対応している

Fireflyは日本語にも対応しています。以下は、「海が見える部屋　モダンなテイスト　モノクロの部屋　無機質な部屋」とさまざまな要素を指示した結果です。

指示通りの画像が生成できました。

Fireflyのプロンプト認識精度

Fireflyのプロンプトの認識精度を確認するため、他の画像生成AIと出力結果を比較します。比較対象として、Stable Diffusionをベースにした無料ブラウザツール、「DiffusionArt」「Stable Diffusion Online」を利用しました。

「Frog dancing with umbrella on leaves dripping with morning dew, realistic, finely detailed」（朝露が滴る葉っぱの上でカエルが傘を差して踊っている, リアル, 細かく描写）と入力した結果です。

「傘を持つカエル」というプロンプトを認識できたのはFireflyだけでした。無料のブラウザツールで比較した場合、Fireflyのプロンプト認識精度は非常に高く感じます。ただし、Fireflyは暴力的なコンテンツなどは生成できないため、注意しましょう。入力しても下記画像のようにエラーが表示されてしまいます。

Fireflyのプロンプトとボタンの精度比較

Fireflyの操作パネルとプロンプトの精度を、「Text to image」で比較しました。同一内容になるようにプロンプトとボタンでそれぞれ指示を出し、生成される画像に違いがあるのか検証します。指示内容は以下の通りです。

プロンプトのみで指示を出すと、全体的におもちゃのような仕上がりになりました。「木彫り」という指示が強く反映されています。一方ボタンを用いると、木彫りの要素は若干弱いですが、実写のような画像が生成されました。「高速道路を走るスポーツカー」というイメージを生成してから、木彫りの要素を追加したような印象です。

したがって、追加する要素の優先度が高い場合はプロンプト、低い場合はボタンのように使い分けると、イメージ通りの画像を生成できるかもしれません。

Fireflyは強調構文による重み付けができない

Stable DiffusionやMidjourneyなど、一部の画像生成AIは任意のプロンプトを強調させるテクニックがあります。たとえば、Stable Diffusionは括弧や数字を使ってプロンプトを強調でき、下記のように重み付けできます。

Stable Diffusionは「oranges, apples」というプロンプトで、りんごとオレンジの要素が混ざったオブジェクトを生成してしまいました。しかし、括弧や数字で重み付けをすると、片方の果物が強調された画像を出力します。

続いて、Fireflyで重み付けを行った結果です。

Fireflyは括弧や数字を用いた重み付けを行っても、出力結果に影響は見られません。プロンプトの細かい調整は難しいようです。

プロンプトのコツを理解して、イメージ通りの画像生成を

本記事ではFireflyのプロンプトについて、以下の内容を解説しました。

Fireflyはテキスト入力によるプロンプトもしくは、操作パネルのボタンからイメージを指定できる画像生成AIです。同じ要素でも、プロンプトとボタンでは生成内容に違いが生じるため、使い分けが重要です。追加する要素の優先度に合わせて、最適な指示形態を選択しましょう。

また、ツールごとにおすすめのプロンプトを紹介しました。活用できれば効率的にイメージ通りの画像が生成できます。ぜひ参考にしてください。