
Webデザインやアプリ開発において、ワイヤーフレームは不可欠です。しかし、初めてワイヤーフレームを作成する人にとっては、どのようなツールを使えばよいのか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。そこで、この記事では初心者でも使いやすく、機能性に優れたワイヤーフレームツール5つを紹介します。それぞれのツールの特徴や使い方を理解することで、ユーザーが自分に合ったツールを見つけ、効率的にワイヤーフレームを作成できるようになるでしょう。この記事を読めば、初心者でも使いやすいワイヤーフレームツールについての知識が身につき、自分に合ったツール選びが容易になるため、ぜひ参考にしてください。
目次
ワイヤーフレームとは
ワイヤーフレームとは、Webサイトやアプリなどのデザインを作成する際に、まず枠組みとなる画面構成を設計するためのツールのことです。ワイヤーフレームを作成すれば、デザインを開始する前にレイアウトを確認できるため、デザインのスピードアップや改善、またはチーム内の共有やコミュニケーション改善などが期待できます。
ワイヤーフレームの作成はデザイナーだけでなく、エンジニアやマーケターなどの関係者とも共有することができるため、Webサイトやアプリの開発プロセスを円滑に進める上で、欠かせないツールの1つです。
ワイヤーフレームの目的
ワイヤーフレームの目的は、WebサイトやアプリケーションなどのUI設計において、コンポーネントの配置やレイアウトなどの基本的な構造を示すことです。また、ワイヤーフレームは、レイアウトなどを複数のデザイナーやエンジニアで共有できるので、設計上のミスを発見しやすくなります。このように、ワイヤーフレームはUI設計の基盤となるものであり、システム全体の品質向上につながります。
ワイヤーフレームのメリット
ワイヤーフレームを使用するメリットは、デザインの問題点の特定と、修正が初期段階で可能となる点です。時間とコストを節約し、最終的に優れたユーザーエクスペリエンスの提供が可能となります。また、ワイヤーフレームを使用すれば、要件が明確になるため、チームメンバー間でプロジェクトのビジョンを共有できます。加えて、スケッチブックと同じように、アイデアを簡単に実装できるため、クリエイティブなフローを妨げることなく、アイデアを磨くことが可能です。
ワイヤーフレームを使用すれば、チーム全体で効率的かつクリエイティブな方法で作業できるようになるため、ユーザーにとって使いやすく、優れたWebサイトを提供できます。
ワイヤーフレームツールの種類
本章では、ワイヤーフレームを作成するためのツールについて詳しく説明します。ワイヤーフレームツールは、大きく分けると2つの種類がありますので、それぞれ紹介していきます。
オンラインツール
インターネットに接続することでウェブブラウザを通じて使うことができるツールです。無料で使えるものから、有料の高機能なものまでさまざまな種類があります。オンラインツールのメリットは、インストール作業が必要ないため手軽に使えることや、複数人で同時に編集でき、チームでの作業に向いていることなどが挙げられます。また、オンライン上で共有できるので、遠隔地にいる人同士でもコミュニケーションをとりながら作業を進めることが可能です。
デスクトップツール
PCやタブレットなどのデバイスにツールをインストールして、ワイヤーフレームを作成できるツールです。オフライン環境でも使用可能で、セキュリティやプライバシーの面でも安心です。また、オンラインツールと比べて高度な機能が搭載されていることが多く、デザイン性にも優れる場合があります。しかし、デスクトップツールは使い慣れるまでに時間がかかることがあるため、初心者には扱いにくいかもしれません。多くのツールは有料ですが、無料で使えるものもあります。
ワイヤーフレームツールの選び方
この章では、必要な機能の洗い出し、コストの比較、利用シーンに合わせた選び方について解説します。ワイヤーフレームツールは多数あり、それぞれ特徴があるので、自分の目的や利用シーンに合わせて選ぶことが大切です。選び方を理解して、適切なツールを選択しましょう。
必要な機能の洗い出し
ワイヤーフレームツールを選ぶにあたっては、必要な機能を洗い出すことが重要です。例えば、ページ内にある要素の配置やサイズ調整、各画面間の遷移の確認、コメントやフィードバックの共有機能などが挙げられます。これらの機能をリストアップし、自社のニーズに合致するかどうかを確認することが必要です。
コストの比較
コストも重要な要素です。無料のツールもありますが、有料のツールにはより高度な機能があります。一方で、必要な機能が少なくても高価なツールもあるため、ツールの価格は、企業やプロジェクトの予算に応じて考慮する必要があります。また、多くのツールには無料トライアルが提供されており、ツールの使い勝手や機能を試すことができます。コストの比較は慎重に行い、プロジェクトに最適なツールを選びましょう。
利用シーンに合わせた選び方
利用シーンに合わせた選び方も重要です。たとえば、個人利用か法人利用か、またはWebサイトかモバイルアプリかなど、使用目的によって必要な機能が異なります。また、利用頻度やチームでの共有の有無も選択肢を絞るポイントです。利用シーンに応じて慎重に選択することで、用途に合ったツールを選択できるようになります。
ワイヤーフレームツール5選と比較
ここでは、ワイヤーフレームツールの代表的な5つのソフトウェアを比較してご紹介します。Adobe XD、Figma、Sketch、Axure RP、Moqupsのそれぞれの特徴や使い勝手を解説し、自分に合ったツールを選ぶための参考にしてください。
Adobe XD
Adobe製なため、他のAdobe製品との親和性が高いのが最大の特徴です。また、ユーザビリティに優れ、シンプルで直感的なUIデザインが可能なので、初心者にもおすすめです。Adobe XDは、単体での販売を終了しているため、使用するにはコンプリートプランを契約する必要があります。
コンプリートプランは月々6,480円(税込)からと安くはないですが、PhotoshopやIllustratorなど、他のアプリケーションも利用できるようになるため、別のAdobe製品も利用する場合はコストパフォーマンスが高いです。Adobe XDはUI/UXデザインに特化したツールで、以下のような特徴があります。
機能
- デスクトップツール
- ベクターデザイン、ワイヤーフレーム、プロトタイピングの作成が可能
- 共同作業がしやすい「共有モード」機能があり、クラウド上でのファイル共有が可能
- Adobe Creative Cloudとのシームレスな連携が可能
コスト
- 単体プランの販売は終了しており、コンプリートプランでの提供となっている
- コンプリートプランは、月々プランと年間プランがある
- 月々プランは税込10,280円/月
- 年間プランは月払いが税込6,480円、一括払いが税込72,336円/年
出典:Adobe
利用シーン
- Webサイトやモバイルアプリケーションのデザイン
- チームでのデザイン作業
Figma
クラウドベースのUIデザインツールで、共同作業が容易にできるのが最大の特徴です。利用シーンとしては、チームでのプロジェクトでの利用が向いており、リモートワークやリモートチームでの作業にも最適です。また、プロトタイプ作成も容易に行えます。特徴は以下の通りです。
機能
- オンラインツールとデスクトップツール
- プロトタイピング機能(画面遷移やインタラクションの挙動を実際のデザインで再現できる機能のこと)が充実しており、設定項目が豊富
- スタイルやコンポーネント機能(デザインファイル内で何度も利用する、同じかちょっと似ている要素を簡単・便利に扱うことができるようにする仕組み)が充実している
- ベクターペンツールをはじめとする豊富なデザインツールを備える
- プラグインによる拡張が可能で、開発者コミュニティが活発
コスト
- 無料プランと有料プランが存在する
- スタートアップ、企業、教育機関などの利用には有料プランがある
- 有料プランは月額と年払いが選択できる
- 年払い(編集者1人あたりの月額)はスターターが無料、プロフェッショナルが1,800円、ビジネスは5,906円、エンタープライズ9,843円
- 月額は(編集者1人あたり)はスターターが無料、プロフェッショナルが2,250円
出典:Figma
利用シーン
- UI/UXデザインの制作やプロトタイピング、デザインの共同作業
- 多くの人数でプロジェクトを進める場合
- 大規模なプロジェクト
以上です。UIも非常に分かりやすいので初心者にもおすすめです。
【参考】
Sketch
Sketchは、Mac専用のデザインツールです。UIデザインに特化している事が最大の特徴で、プロトタイプの作成までワンストップで行なえます。また、ユーザビリティに優れており、軽快な動作が特徴です。カスタマイズ性も高いため、外部プラグインを使用すれば、自分好みの操作性に調整できます。
機能
- デスクトップツール
- インターフェース、ウェブ、モバイルデザインなどのプロトタイプ作成
- 多数のプラグインがあり、機能の拡張が容易
- シンボルやスタイルの再利用性が高く、効率的なデザイン作業が可能
コスト
- 30日のトライアルが終了し継続する場合、1年間のライセンスが99ドル(月払いの場合は9ドル/月)
- 割引プランあり
- 学生や教育機関向けに無料ライセンスあり
出典:Sketch
利用シーン
- インターフェース、ウェブ、モバイルアプリのデザイン
- 大規模なデザインチームでの共同作業
- ワイヤーフレームからモックアップまでのワンストップ制作
以上です。かなり直感的に操作ができるので、難易度は低いと言っても良いでしょう。
Axure RP
高度なインタラクションデザインに特化したUIデザインツールで、ワイヤフレームはもちろん、プロトタイプ作成に優れています。フロー図の作成にも対応しており、アプリケーションやサイトの開発者に最適です。
機能
- デスクトップツール
- 豊富なコンポーネントとテンプレートが用意されており、プロトタイプの制作が効率的に行える
- HTMLやCSS、JavaScriptを使用して高度なインタラクションを実現できる
- コンポーネントやページを再利用するためのライブラリ機能があり、再利用性が高い
- プロトタイプや仕様を作成する商用 (業務利用) 向けの「Axure RP 10 Pro Edition」とAxure RP Pro Edition の機能を共同利用するチーム向けの「Axure RP 10 Team Edition」がある
コスト
- 30日間の無料トライアルがあり、その後年間サブスクリプション
- 「Axure RP 10 Pro Edition」の1年間サブスクリプションは56,100円、2年間サブスクリプションは107,470円、3年間サブスクリプションは158,950円(税込)
- 「Axure RP 10 Team Edition」の1年間サブスクリプションは94,160円、2年間サブスクリプションは180,620円、3年間サブスクリプションは266,970円(税込)
出典:XLsoft
利用シーン
- 大規模なウェブサイトやアプリの制作
- プロトタイプのレビュー・共有において、細かい修正を行う必要がある場合
以上がAxure RPの特徴です。専門的なスキルを必要とするため、比較的ハイレベルな開発者向けのツールとなっています。
Moqups
Moqupsは、ウェブアプリやモバイルアプリのデザインに最適なツールです。UIデザインだけでなく、ワイヤーフレームやフローチャート、マインドマップなどの作成にも対応し、プラグインやテンプレートが豊富で、初心者でも使いやすい仕様となっています。
直感的な操作が可能で、ワイヤーフレームの作成やUIデザインだけでなく、ビジュアルデザインの作成にも利用できます。また、以下のような特徴があります。
機能
- オンラインツール
- ワイヤーフレームやプロトタイプの作成が可能
- 独自の図形やUI要素を作成できる
- コラボレーション機能が備わっており、リアルタイムでの編集やコメントのやりとりが可能
コスト
- 無料プランと有料プランがあり、無料プランでも基本的な機能を利用できる
- 有料プランは月額または年間契約で利用可能
- 月契約の場合、個人は17ドル、チームは32ドル、無制限は89ドル
- 年契約の場合、個人は13ドル、チームは23ドル、無制限は67ドル
出典:Moqups
利用シーン
- チームでのコラボレーションやリモートでのユーザーテスト
- プロトタイプやワイヤーフレームなど、デザインプロセスの初期段階
- クライアントとのやりとりやプレゼン資料作成
以上です。機能が比較的シンプルで、初心者にも扱いやすいツールです。
まとめ
この記事では、UI/UXデザインにおいて使われる代表的なツールとして、Adobe XD、Figma、Sketch、Axure RP、Moqupsを紹介しました。それぞれのツールには特徴的な機能や、コスト、利用シーンなどがあり、選択する際には自分のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。
Adobe XDは、プロトタイプ制作が容易である点が魅力的で、Adobe Creative Cloudのコンプリートプランに含まれています。Figmaは、デザインチームの協業に優れた機能があり、スタータープランであれば無料で利用可能です。Sketchは、Macに最適化されたデザインツールであり、スタンダードライセンスを購入する必要があります。Axure RPは、ウェブサイトやアプリケーションの設計やプロトタイピングに優れた機能があり、コミュニティライセンスを含めた複数のプランを利用可能です。Moqupsは、ビジュアルデザインに特化したツールで、フリープランから利用できます。
自分にとって最適なツールを選ぶことで、UI/UXデザインの効率化につなげましょう。