「CMSを導入するか迷っている…」
「どうやって導入するの?」
「導入するとしたら、どれくらいの費用がかかるんだろう…」
といった悩みを抱えているWeb担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?CMSを導入することで、ランニングコストの削減・社内業務の効率化が実現できます。
ただし、ダウンロードしてすぐに使えるわけではなく、事前準備が必要だということをご存知ですか?「CMSはHTMLやCSSなど専門知識がない人でも簡単に利用できる」という言葉が独り歩きしていて、準備の際に専門知識が必要だったり、工数がかかることをご存じない方も多いと思います。本記事では、
- CMSを導入するメリット
- CMSを導入する際のポイント
- 自社でCMSを導入する方法/外注する方法
などを丁寧に解説。記事後半では、CMSの導入事例も紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
目次
CMSは導入した方が良いの?
結論から申し上げますと、ホームページを制作する際には、CMSを導入した方が良いです。
CMSを導入すると、文章入力や装飾を充てるといった作業をするだけで、専門知識がない人でも簡単にWebサイトを構築することができます。(初期設定やアップデート、プラグインなどの作業は除く)
以前まではWebサイトを構築するとなると、HTMLやCSSなどのコードを手作業で入力しなければならず、専門知識がなければ更新作業は不可能。自社に専門知識を持つスタッフがいない場合は、ホームページ制作会社に依頼するしかなく、サイトを編集する度に費用を払っていました。
自社に専門知識がある担当者がいてとしても、その人にしかページの更新ができないということは変わりません。大量のページを更新しなければならない際には、該当する社員の日常業務に支障が出てしまったり、情報掲載までのタイムラグが生まれてしまうことも。
しかし、CMSは初期設定さえされていれば、コーディングの知識がなくても、文章・装飾を入れるだけで簡単にページの更新ができます。そのことにより、制作会社に依頼するコストの削減と、分業化で会社全体の作業効率の向上、鮮度の高い情報の掲載が可能になりました。
CMSを導入する際のポイント
ここからは、どのCMSを導入するかを決めるポイントを解説します。
ポイント①:CMS導入の目的をはっきりさせる
まず、なぜCMSを導入するのか、その根拠をはっきりさせましょう。
CMSの導入事例を見ても「クライアントが何かしらの課題を持っていて、それを解決するためにCMSを導入した企業が成功しやすい」ということがわかります。例えば、
- 専門知識がないけれど、自分で更新できるホームページを作りたい
- 今あるホームページをリニューアルしたい
- 採用サイト内の会社説明会の日程など、鮮度が高い情報を載せたい
- 集客力の向上のために、ブログを併設したい
- 限られた人ではなく、分業化を推進したい
など、抽象的・具体的にかかわらず「現在抱えている自社の課題を明確にすること」が大切です。CMSと一口に言っても、各CMSごとに異なった特徴があるので、課題を明らかにすることで自社に最適なCMSを見つけやすくなります。
ポイント②:無料・有料、どちらを選ぶか
無料のCMSは、WordPressのようなオープンソース型のCMSが挙げられます。インストール当初は必要最低限の機能のみ搭載されていて、プラグイン(拡張機能)を取り入れることでオリジナルのCMSを自力で作っていくイメージです。
一方有料CMSは、制作会社などが制作した独自開発型のCMSのこと。その中でも、自社でサーバーを用意するオンプレミス型とインターネット上のサーバーを使用するクラウド型の2種類があります。
有料CMSはコストがかかる代わりに、制作会社のサポートが手厚かったり、デフォルトの機能が充実しているのでプラグインが必要ない場合が多いといったメリットがあります。
無料か有料かの違いでも、特徴が全く異なるので、CMSを選ぶ際の1つの基準にすると良いかもしれません。
ポイント③:運営のためのサービス面はどこまで対応しているか
最低限のサービス
CMSを導入する際に最も重要なポイントは、デザイン面だけでなく、Webサイト運用のための最低限のサービスが含まれているかどうかです。例えば、スマートフォンに対応して表示させられるかどうかを確認する必要があります。
総務省の平成30年のデータによると、10代~40代の約90%はインターネット接続端末にスマートフォンを選んでいるという調査結果が出ています。(参考:個人のインターネット利用者の割合の推移)
Googleも公式に「今後はパソコンサイトではなくスマートフォンサイトのページを評価対象とする」と宣言。スマートフォンサイトに対応していることは、SEOの絶対条件とも言えるレベルになっています。
このように、サイトの評価を左右する最低限のサービスが含まれているか、しっかりと確認しましょう。
プラスαのサービス
有料CMSは、マーケティング戦略を含めて売り出しているものもあります。具体例を挙げると、Google広告への掲載サポートがついていたり、採用サイトを制作した場合にGoogleしごと検索に対応させたりと、集客施策がセットになっているのです。
自社で集客方法の案が思いつかない場合や、方法は思いつくがどの方法があっているかわからないという場合には、このようなCMSを選ぶことが適しているかもしれません。
自社の状況に応じて、プラスαのサービスが必要なのかどうか見極めることも、CMS選びのポイントです。
導入方法①:自力でCMSを導入する(WordPress)
ここからは本題である、CMS導入方法を解説していきます。今回は世界シェア№1のWordPressを導入する手順を紹介します。
手順①:レンタルサーバーを借りる
そもそも、WordPressはサーバー上で使用するものなので、インストールする前にサーバーを用意する必要があります。
サーバーには、自社サーバーとレンタルサーバーがありますが、大手ゲーム会社でない限り、自社サーバーを持っていることは少ないのでここではレンタルサーバーを借りることとします。
WordPressのインストールを自動でしてくれるレンタルサーバーを選ぶと工数をかけずに済みますよ。
手順②:データベースを設定する
サーバーを用意したら、MySQLなどのデータベースソフトウェアをインストールします。データベースを用意しなければ、タイトル・本文・作成日時・タグなどの記事情報を保存することができません。
ちなみに、MySQLはオープンソースなので無料で利用でき、複数のOSで利用できるのでおすすめのデータベースソフトウェアです。
レンタルサーバーによっては、WordPressとデータベースの両方を自動でダウンロードしてくれるものもあるので、工数をかけたくないという方は、そういったサーバーを選ぶとよいかもしれません。
手順③:WordPressをインストールし、独自ドメインを取得する
データベースの設定が終わったら、ここでいよいよWordPressをインストールします。必要事項を入力し、初期設定が完了したら、独自ドメインの取得作業に移ります。
独自ドメインは「Web上の住所である」とよく表現されますが、初期設定ドメインのままだとレンタルサーバーのWebサイトとして認識されてしまいます。そのため、本格的なサイトを作るならば、独自ドメインの取得は必要です。
ここまで終えて、やっとWordPressを使ってWebサイトを構築することができます。
導入方法②:CMSの導入を外部に依頼する
自力でCMSをインストールするのが難しい場合は、お金はかかってしまいますが外部に依頼する方法もあります。その方法としては、
- 代行会社を利用して、CMS選定から実装・保守までを委託する
- 有料CMSを使う
の2種類の方法があります。
1つ目のCMS導入代行会社は、市場調査をしてCMSを選定するところから依頼でき、その後の実装作業はもちろん、使っていく上でのセキュリティ保護やプラグイン設定まですべて委託することができます。
2つ目の有料CMSは、サービス内容にCMSの実装が含まれていることが多く、クラウド版の有料CMSを使うことでサーバーの用意も必要ありません。
CMS導入の注意点
ここからは、CMSの導入に関する注意点を解説します。
注意点①:事業の将来性
導入前に、そのCMSの提供元の会社を確認しておく必要があります。WordPressのような世界シェア率の高いCMSの場合は必要ありませんが、最近出たばかりだったり、導入事例が少ない会社は注意が必要です。
提供元が廃業してしまった場合、せっかくそろえた拡張機能が無駄になってしまったり、1から他のCMSの機能を覚え直さなければならないなど、多くの負荷がこちらにかかるでしょう。
特に、クラウド型CMSを利用していて、その会社が廃業になった場合、サーバーの引っ越し対応など無駄な工数がかかってしまいます。
知名度があったり、提供元の会社がしっかりしているCMSを選びましょう。
注意点②:セキュリティ対策
これはCMS導入後の注意点となりますが、HTML・CSSコードを使って制作されたWebサイトに比べ、CMSはサイバー攻撃を受けやすいと言われています。
中でもオープンソース型のCMSは特にハッキングされやすく、実際に日本でも、オープンソース型のCMS経由でアクセスしたハッカーに北海道大学の会員サイトページを改ざんされるという事件がありました。そのようなサイバー攻撃を防ぐために、
- 常に最新バージョンにアップデートをする
- パスワードをより強固なものに設定する
- プラグインはダウンロード数が多く、更新日時が最近のものを選ぶ
など、自社でできる範囲のセキュリティ対策でも十分効果があります。
より強固なセキュリティ対策を望む場合は、有料CMSの導入を考えてみても良いかもしれません。有料CMSの中には、サイバー攻撃を未然に防ぐものはもちろん、万が一、被害にあってしまった場合にも即座に対応してくれるサービスを展開しているものもあります。
CMS導入事例【PayPay】
ここからは、実際にCMSを導入して成功した企業の事例を紹介します。
出典:PayPay
【導入までの流れ】
大手決済サービス会社のPayPayは、CMS導入前まではコーポレートサイトとサービスサイトが別々のドメインで運用。
そのことにより、SEO効果が分散されてしまっていたり、「PayPay」で検索するとサービスサイトよりコーポレートサイトの方が上位表示されてしまっていたので、ユーザーにとっても不便な状態でした。
さらに、手作業でHTMLやCSSコードを入力していたので、かなりの時間がかかり、ページ更新時にヘッダーやフッターの内容の整合性がとれなくなるなど、様々な課題があったそうです。
PayPayはご存知の通りキャンペーンを頻繁に行うので、アクセス集中の負荷対策も課題でした。
【導入後の効果】
導入後は、コーポレートサイトとサービスサイトを統合したので、SEO的にもユーザー的にも問題はなくなりました。
導入したCMSにCDNサービスが導入されていたため、サーバーの負荷対策もばっちりで、アクセスが安定したことでユーザビリティの向上に繋がりました。
キャンペーンページなどのランディングページは、導入前まではデザイナーがコーディング作業をして、承認を得てから公開という形でしたが、コーディング作業がなくなったため、本来のデザインの仕事に専念できるようになりました。
CMS導入する際の費用
ここからは、CMS導入にかかる費用を「自力でインストールする場合」と「制作会社に依頼した場合」の2つに分けて紹介します。
自力でCMSを導入した場合
無料CMSを自力で導入した場合は、基本的にかかる料金はレンタルサーバーの利用料金です。オンプレミス型の有料CMSを自力で導入する場合は、サーバー料金+CMSの料金がかかります。
サーバー名 | 料金プラン |
エックスサーバー | 1ヵ月/1,100円 |
ロリポップ!サーバー | 1ヵ月/550円~(最安値:110円~) |
さくらサーバー | 1ヵ月/1,571円~(最安値:131円~) |
制作会社に依頼した場合
ここでは、CMSを導入したホームページ制作を依頼した場合の料金を紹介します。
項目 | 料金相場 |
初期費用 | 2~5万円 |
ディレクション費用 | 5~15万円 |
デザイン費用 | 7~15万円 |
保守費用 | 月額5,000円~2万円 |
制作費用が14万~35万円程度かかるのと、保守費用として毎月5,000円~2万円が加算されることになります。
CMSを導入して、ユーザー・企業にとって有益なサイトを作りましょう!
今回は、CMSを導入する際のポイントから具体的な導入方法、導入における注意点などを紹介しました。
CMSを使えば、文章を入力したり写真を挿入するだけで簡単にページが更新できるので、社内の分業化ができたりコストが削減できます。また、鮮度の高いキャンペーン情報などをスピーディーに提供ができるため、常にユーザーにとって有益な情報を発信することが可能です。
今までHTML・CSSを手入力して自社サイトを制作していた企業も、これを機に、CMSを導入して魅力的な自社サイトを作っていきましょう!